ワールドカップを見て思う日本のベンチャー企業・上場制度

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昨日のサッカーワールドカップ・パラグアイ戦、残念でした。でもよくがんばったと思います。

(本格サッカーファンのみなさまにおかれましては、にわかサッカーファンの私めがサッカーをネタに語るのをお許しいただければと思います。<(_ _)>)

 

さて、日本では、へんな上場企業が不公正ファイナンスを行ったり、上場してみたら上場前からものすごい粉飾をしてたり、といったことが、かなりの頻度で発生しているように思います。

こういう事件が起こるたびに

「何やってんだよ、もう。」
「日本の株式市場最悪。」
「証券会社や取引所は、もっとちゃんと審査しろ!」

といった声があがるわけです。
(私もつい(F○I社の件など)、「それド真ん中でしょ、なんで通しちゃうの!?」と口から出ちゃうこともありますが…。)

 

しかし、今回、ワールドカップの試合を見ていて、敵に点を決められた時にキーパーをなじったり、PKで点を入れられなかったキッカーを非難するというのは、人間としてやっぱ最低だなと反省いたしました。

 

例えば今回の「未上場時に個人から出資を受けた企業が原則としてIPOできない」という規制案の件。

そもそもなぜ未公開株詐欺といったことが起こるのか、という根本原因を考えてみると、それは「未公開株はオイシイ」という認識が存在するからです。

もちろん、上場前の株価は、上場株式と違って流動性が無い分 discount されていると理論的には考えられますので、その分安い、ということは言えます。

しかし、それは上場できるかどうかわからないリスクを織り込んだものですので、市場メカニズムが効率的に働いていると仮定するなら、その分を適切に反映したディスカウントとなり、つまりはリスクに見合った儲けしか得られないはずです。

 

しかし、上場した企業の多くは、上場直後の株価がピークで、その後は滑り台のように右下がりに株価が下降して行くばかりになったりします。果ては、不公正ファイナンスに使われる「箱企業」((c) SESC佐々木氏?:-)と成り果てたりもします。
こういう状況だと、いちばんオイシイのは上場直前の株式を手に入れること、になってしまいます。

 

しかしこれ、結局すべては「ベンチャー企業が少な過ぎることに起因しているものじゃないでしょうか。

主幹事証券会社の人も取引所も、何も好んで上場後にクソ株になるような企業を上場させているわけじゃないかと思います。

ビジネスなので、ベンチャー企業の数が少なければ、消去法で「まだまし」な(追記:つまり「ものすごく有望」ではなくても、失敗の可能性が高いとも言えず、成長の可能性もある)企業から順番に公開させないと生きていかれない。
芥川賞じゃないので「今年は該当作品なし」では、ベンチャー企業を取り巻く生態系自体が滅びてしまうわけです。

 

逆に、もし「イケテるベンチャー企業」ばかりが上場し、そのベンチャー企業がますます成長できるような環境があれば、右上がりの株価で成長していく企業も増えるでしょうから、わざわざ本当に上場するかどうかもわからない未公開株に手を出さずとも、 上場直後に買っても十分利益を得られるようになります。

「この会社、上場してもやってけるのかなー」ということが頭の隅に浮かぶような企業をわざわざ上場させなくても、イケてる企業が上場順番待ちにワイワイ列をなしていれば、そういう「クソ株候補」は自ずと上場機会を失うわけです。

 

つまり、「イケテるベンチャー企業」を増やすことこそが、現在の株式市場周辺の頭の痛い諸問題を解決する根本的解決策です。

そのためには、起業をもっと活性化させることも必要ですし、上場したベンチャー企業がさらに大企業をも追い抜くような成長ができるもろもろの環境を整えていかないといけません。
これっておそらく、「日本の成長戦略」とかなりの部分が重複すると思うんですよ。

 

今の日本は、点を取られたと言ってはキーパーをなじる最低なチームではないかと思います。
攻められっぱなしで、いつも敵がこちらのゴールの周りに張り付いているような状況では、精神的に消耗もしますし、点も入れられてしまう。

もっとフォワードがガンガン敵ゴールにシュートを蹴り込んでばかりいるような状況が作りだせれば、それが最大の防御にもなるわけですし、チームの心が一丸となっていれば、もっといいプレーができるはずです。

 

私は、エースストライカー(ベンチャー企業そのもの)というよりは、ベンチャー企業にパスを出すような(あるいは選手の飲み物を用意するような)位置付けの人ですが、FWからDF、キーパーまでが一丸となれるチーム形成に何らかのお役に立てればこれにまさることはない、と考えております。

 

(ではまた。)

 

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ワールドカップを見て思う日本のベンチャー企業・上場制度” への3件のコメント

  1. 「証券会社や取引所は、もっとちゃんと審査しろ!」
    主幹事証券会社の人も取引所も、何も好んで上場後にクソ株になるような企業を上場させているわけじゃないかと思います。
    といいつつ
    上場前からものすごい粉飾をしてたり、
    と言っている。
    CPAだって片棒担いでいるんでしょうから、どうせこういう言い方するんだったら、スコープをしっかりもれなく書けば?
    貴殿がそのようなCPAだとは信じていませんが。
    若い上場企業の不祥事が証券会社が甘やかしたことだけが原因じゃないでしょ。

  2. パラグアイ、修正いたしました。ありがとうございます。
     
    >若い上場企業の不祥事が証券会社が甘やかしたことだけが原因じゃないでしょ。
    その通りです。だから取引所や証券会社や監査法人等の個別の責任を追及するのではなく、資本市場というのは、「全員サッカーだ」というのが本稿の論旨です。
    (私は会計監査の仕事もやっていないので、別に会計士だけをあえて抜いたわけじゃないです。資本市場が成立するためには、他にも機関投資家、アナリスト、格付機関、弁護士、ベンチャーキャピタル等、非常に多くの業種が関与することが必要なのです。)
    よろしくお願い致します。
    ではまた。