政府に代わりにお金を使ってもらう社会

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昨日の 週刊isologue第30号「通貨供給でデフレが救えるのか?(「会計経済学」的アプローチ)」で取り上げた、デフレの話の続きですが。

 

この図もなかなか味わい深いです。

 200911101429.jpg
図表1.部門別の資金過不足の推移
(出所:日銀「参考図表(2009年第2四半期速報)」(pdf))

 

 

これ、日本経済の構造変化が起こっているということを一目で理解するのに非常にいい図ですね。

80年代まではずっと一般企業(「民間非金融法人企業」)は「資金不足」側の存在で、常にお金がなかったわけですが、バブル崩壊後の90年以降、企業がお金を使わなくなって、93年以降はほぼ資金供給側に回ってしまっています。

個人(「家計」)も、従来はドバドバお金を供給する側だったのが、だんだんそうでもなくなってきています。

政府は、バブル崩壊以降、ずっと「お金を使う側」の役を演じて来て、小泉政権下で徐々に資金不足解消の方向に向かって行っていたわけですが、07年度以降はまた資金不足方向に振れています。

 

「通貨供給(財政支出)でデフレを解消」と言っている方々からは、具体的に何十兆円使えばいいのか?という数字があんまり聞こえて来ないのですが、

ドタ勘で、80年代に一般企業が不足していた資金GDP比3%マイナスくらいと現在の差、だいたいGDP比5%くらいを、現在のレベルにさらに追加して(つまり、現状の税率を前提として政府がGDP比10%超の資金不足になるような感じで)政府が代わりに使いつづけたら、インフレになるでしょうか。
(2000年以降数年間、政府はがGDP比8%くらいの資金不足を続けましたが、それでもインフレにはならなかったので、もう一声!、ということでGDP比10%超くらい。)

日本の租税負担率(GDP比)が2割ちょっとなので、10%というとその半分くらい。つまり、常に政府が受け取る税の1.5倍くらいづつ使い続ければ、マイルドなインフレが継続するということになるかも知れません。

もし、2年くらい政府に大盤振る舞いしてもらえば、企業や個人のマインドが変わって、「よしっ!なんかやる気になってきた!」と、後は自発的に投資や消費をするようになるのであれば、それはやってみる価値がある気がします。

しかし、上記のグラフは、この30年の間に日本の金の使い方の「構造」自体が変わって来ているようにも見えます。(高齢化なのか少子化なのかは理由はさておき。)
つまり、もうこの先、いくらツツいても企業全体としてキャッシュフローがマイナスになるような投資をしないのであれば、今後一生、政府が代わりに金を使ってあげるということをやり続けないといけなくなっちゃうわけで。

単純に考えれば、租税負担率を現在の1.5倍くらいにすれば、単発の施策ではなく財政も健全なまま、継続的に行うことが可能そうです。租税負担率30%というのは諸外国と比べても、あながち不可能な数字じゃなさそう。もちろん、法人税や所得税を上げるわけにいかないから消費税を上げるということになります。
つまり、「企業も個人も財布の紐が固いから、おいら(政府)が代わりに金を使ってあげるよ」という社会

もちろん、租税負担率が増えれば、その分、法人や個人の支出も減るでしょうから、さらに政府は大盤振る舞いをしないといけないことになりますので、租税負担率の均衡点は30%じゃ済まなさそうですが。

それがイヤなら、企業等に自発的に「金を使う気」を出してもらう方策を考えないといかんのじゃないでしょうか。それは、もちろん政府が支出を増やすことによっても行える可能性がないとはいいませんが、少なくともそういう方向に社会を変えようという目的意識が無く、ただ「デフレギャップ」を金銭的に埋めればインフレが起きて万事うまくいくという発想では、達成できないんじゃないかと思います。

 

(ではまた。)

 

 


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政府に代わりにお金を使ってもらう社会” への1件のコメント

  1. 初めまして。いつもこっそり拝見させて頂いております(笑)同じ資料を見て、政府に金を奪われてるなぁと思ったのを思い出したのでいつもはROMなのにコメントしちゃいました。お忙しいとは思いますが、お体に気をつけて面白い記事の投稿をぜひ!