女性参政権運動と「監査役制度改造論」

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放送大学の「アメリカの歴史と文化(’08)」で何人かいらっしゃる講師のうち、東京女子大学の小檜山ルイ教授は女性史的な観点を多く取り入れて講義されているのですが、この中で、女性参政権を獲得する過程の議論がおもしろかったので、メモであります。
「女性参政権の歴史」と聞いて多くの人がイメージするのは、

女性も男性も同じ平等な人間だから女性にも参政権があるのは当然中の当然。にも関わらず、男性中心社会の横暴でそのあるべき状態が達成されていなかったものを、「本来的な状態」に戻す過程

または、

なんで男だけ参政権持ってんのよ。私たちにもよこしなさいよ!(キーッ。)

といった(一方向的な)イメージなんじゃないかと思います。
ところが、


この講義(第5回「民主主義を可能にする社会」、第9回「産業社会の到来:都市と農村」等)を聴くと、(第二次大覚醒等、キリスト教の運動の影響も強く受けて)、女性はむしろ選挙権を持たないことで「利害関係からの超越性」を獲得し、男性と一線を画し、「道徳の守護者」として、純粋に倫理的で(政治に利害関係がないがゆえに)説得力ある立場から男性社会に強い影響力を与えるという政治文化が存在した時代があった、というようなことをおっしゃっていて、ちょっと驚きでした。
これが、19世紀から20世紀にかけて、教育水準の高い白人女性が参政権を得ることで移民の影響力を激減させることができるといったネイティビズムなども影響し、女性が参政権を獲得して行ったと同時に、そういった政治文化も解体されていった、という過程が説明されてます。
ということで、この講義を見ながら、旬刊商事法務2007/4/5日号の大杉謙一中央大学教授の論文「監査役制度改造論」を思い出してました。
現在の制度では監査役には取締役会における議決権がありませんが、監査役が取締役を兼務して議決権を持つようになったらどうか、という「ガバナンスの形」についてのお話だったかと思います。
(関連拙稿はこちら;
監査役制度改造論(旬刊商事法務2007/4/5日号)
「委員会設置会社制度改造論」

「ゼロだったものを1にする」という単純なお話ではなく、独立性・中立性の確保」と「議決権による影響力の行使」のバランスをどのへんに置くかという議論が、女性参政権獲得の歴史の中でもあったんだなあ・・・というだけなんですけど。メモとして。
(ではまた。)

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女性参政権運動と「監査役制度改造論」” への2件のコメント

  1. はじめまして。いつも楽しく拝見しています。
    企業の中で働くOLとして、選挙権をもたないことで「利害関係を超越する」こと。
    実感としてよくわかります。
    もと経企にいたのですが、個人的な見解ですが、やっぱり男性は社会的な動物だから、社会とか組織とかのなかでいろいろ立場があるし、その場によって意見を変えたりせざるを得ない状況とか見ていると男の人ってほんと大変だなあ〜と思ってみていました。自分は女であることでその中にはまきこまれていないで、自由に意見を言ったり、外から眺めていられるところがあるというか。
    いろんな歴史があったのですね。
    勉強になります、ありがとうございます。