「世界のビジネスを変えた 最強の経営参謀」

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「税経通信」の最新号に書評を書かせていただいたんですが、こちらのブログにも掲載させていただきます。
著者の公認会計士 山田 有人さんは、大原大学院大学教授の他、吉本興業の監査役も務める方ですが、「さすが吉本!」、というか、読んでて飽きさせません。しかも、面白いだけじゃない。
 

世界のビジネスを変えた 最強の経営参謀
山田 有人
税務経理協会
売り上げランキング: 1419
おすすめ度の平均: 5.0

5 経営参謀
5 自分のゴールが見えてくる1冊
5 CFO

 
(以下、引用。)


 
 最近は「会計本ブーム」で、初心者が手軽に会計のエッセンスに触れることのできる会計や財務の本が増えてきた。しかし、会計の技術的な側面だけでなく、その知識を生かしてどんな経営をするかという経営者的な観点から書かれた本は非常に少ないのではないか。
 著者の山田氏は、会計や税務の仕事はもちろん、海外でのビジネスやエンターテインメント企業のCFOなどを経験してきた、数少ない「国際的な経営感覚を持つ公認会計士」ではないかと思う。本書は、初心者も十分理解できる内容であるが、ただ「初心者向けに易しく書きました」という甘ったるい入門書ではなく、そうした氏の経験や知識をベースに、昨今の会計や財務のホットな論点がしっかり盛り込まれたハードボイルドなものに仕上がっている。また、吉本興業の役員という名にたがわず、手に取った人が読んでいてワクワクする「エンターテインメント」のフレーバーも添えられている。
 著者は、まず第1編で、グーグルのレイエス氏、ディズニーのウィルソン氏、日産のムロンゲ氏など、成功したCFOの実例を掲げ、マスコミに露出する花形CEOより目立たないけれど、世界的企業の戦略に深く関与するCFOの実像に光を当てる。同時に、エンロンの例を取り上げ、財務的な技術に酔って「ダークサイド」に落ちた企業の末路を描くことも忘れていない。
 第2編では、会計を学ぶ際の難しさを説くとともに、「会計の学習ほど効率のいい投資はない」ことを強調する。第3編で、敵対的買収の事例等を掲げて、企業価値やコーポレートガバナンスについて説明し、第4編では今後の社会における新しいCFO像について語っている。
 著者は、カルロス・ゴーン氏の「日本に無いものは経営だけだ」という言葉が、「日本に無いものはCFOだけだ」と聞こえるという。また、「日本において、一人でも多くの創造性と倫理性に富んだCFOが経営参謀として誕生し、真なる意味で、日本企業を世界でも胸の張れるリーディング・カンパニーに導」くことを本書を書いた目的としている。
 評者は、会計を学ぶ際の最大の障壁は、必要とされる知識量の多さや技術的な難しさではなく、「いかに会計を学ぶインセンティブを持つか?」であると思う。現在、会計や財務のセンスを必要とする人は、経理部の人間だけでなく、経営トップや、J-SOXの導入に巻き込まれた現業部門の人まで含めて、潜在的に急拡大しているし、評者も、日本に創造性と倫理性を兼ね備えたCFOが多数現れることを願ってやまない。しかし、必要性は感じていても、日本の旧来的な「経理屋」のイメージの野暮ったさや、体系の全貌のイメージがつかみにくいことから、会計を学ぶ「登山」にチャレンジしてみようという気すら起きない人がほとんどではないだろうか。本書は、「山」のふもとを歩いて終わる多くの入門書とは異なり、「山の頂上を目指してみたくなる」刺激を受ける本ではないかと思う。
以 上
(ではまた。)

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