条文が読めない!??

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事業承継税制について書いた先日のエントリに、kawailawさんからいただいたコメントと、私の質問。

この法律の条文を読むことすらできない弁護士さんがどのくらいたくさんいるかと思うと、ちょいと暗澹たる気分ですが。

(ん?)
条文を読むことすらできない、ってどういう意味でしょうか?

よく存じませんが私の勝手なイメージでは、(税に関連する部分はともかく)、相続の民法的な部分というのは、普通の弁護士さんがわりとお得意な分野ではないかという気がしているのですが。
今後手当てされる税制改正なども考え合わせて、この条文から適切な事業承継プランを導き出せる弁護士さんが少なさそうだ、ということですか???

と、質問させていただいたところ、

まあ最近の立法はこういう書き方ですよね。
が、司法試験で問われる法律っていうは、憲法、民法、刑法、両訴訟法、といったところで、これらはいずれも非常に伝統的な書き方で法文が書かれていますので、会社法以外は、今風の法文の書き方をしていない訳です。で、まず法文そのものを読めない訳です。
税法とか、会計分野の法制度は、どれもこれも今どきの法文ですから、会計の専門家の皆さんからすると信じられないような話でしょうが。まあ実際多いのですよ。
つまり、適切な事業承継プランを導くとか何とかいうよりもはるかに以前のレベルの話なのです。
そういう人は、別の弁護士さんが書いたハウツー本を読んで、法文に当たっていくのですが、おっかなびっくりな訳です。その顔をクライアントに見せるかどうかは、別論ですが。で、最後まで、法文を読めないまま、ハウツー本の知識を恰も自ら法文を読んでいる者の知識であるかのようなふりをして見せかけて仕事にあたる訳です。
まとめますと。
伝統的な法文の書き方。
一見シンプルで、読みやすい。が、解釈の余地が広く、解釈論を勉強しないと法律の意味するところが理解できない。そういう法文の書き方をする。
今どきの法文の書き方。
カッコ書きやら定義やら限定やらやたらとあって、一文もひどく長くて、日本語としては非常に悪文で読みづらい。が、極力解釈の余地がないように、法文自体の明確さを重視して書いてある。が、その分野の専門家でないと法律家ですら法文を読めなかったりする。
この、今どき法文の苦手な弁護士さんが過半を占めているのがこの国の蜂巣の姿なのです。(良貨は悪貨を駆逐するでしょうか?)

とのことです。
なるほどー、と思う反面、ちょっとにわかには信じられないような・・・。(「会計の専門家の皆さん」が条文を読めるのか、読んでいるのか、ということもさておき。)
また、よく考えると、「弁護士さんすら読めない条文」、というのは誰のために存在するのかなあ、という気もいたします。
(ではまた。)

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条文が読めない!??” への10件のコメント

  1. 条文がよめない?・・・磯崎さんのエントリーを拝読して

    このエントリーは公開時刻自動設定機能によりエントリーしております。 磯崎さんが面

  2. 磯崎さま
    kawailawさま
    二人のやり取りが非常に興味深く、気がついたら脊髄反射的にエントリーを書いておりました。
    御恥ずかしいないようですがTBさせていただきます。

  3. 河井先生の問題提起は結構シリアスだと思っています。条文は複雑だけれどもきちんと読めば「正解」にたどり着けるという類の問題は、法学部では教育しませんし、司法試験でも問われません。なにせ法学は「学問」であり、法解釈とは法の精神の探求(笑)ですから(最近、新試験やロースクールでは変化の兆しがあります)。会社法は例外ですが、「会社法学」は例外ではないかもしれません。私は、機会があれば常に「法律は問題解決の道具に過ぎない」と学生に述べていますがね。
    では、どうすれば良いのかというと、法学教育・弁護士の質を上げる考え方と、弁護士に過大な期待をしないという考え方がありますが、ここから先は自爆のリスクがありますので、ここで失礼いたします。

  4. (補足です)
    経済学部における会計学の授業で、簿記の仕訳をあまり教えないのと同じかもしれません(違うかもしれません・・)。

  5. おおすぎさま
    >ここから先は自爆のリスクがありますので、ここで失礼いたします。
    補足で自爆のリスクにちょっと近づいておられるかも(笑)。
    本来、こういったスキル?というのはどこで御勉強することになるのでしょうか?
    このような営為は体力勝負とも言い難いところもありますし、時間がないと最初は大変な方も結構おられるでしょうから、情報検索と情報収集のスキルの部分にも関係してくるのかもしれませんが、この「情報の母集団」って結構地雷が埋待ってるということはなにのでしょうかねえ。
    少なくとも皆さん条文操作の確認はしてからお仕事しておられるんだろうとは思っているのですが。
    ブログではその辺のすれすれの問題取り扱うときって実は結構気を使ったりしてるんですけど(苦笑)。

  6. ブログ主を差し置いての交換日記、失礼します。
    >ろじゃあ様
    こういったスキルは、「ある程度は」学部・法科大学院で授業すべきですし、実際、心ある先生は(ある程度)そうなさっていると思います。大昔は法学入門の授業で「及び・並びに」「又は・若しくは」の違いとか、拡大解釈と類推適用の異同とか教えていたはずなんですが(山田晟先生の教科書など)、私が学生の頃にはすでに妙に難しいテツガクぶった入門講義がされていて、私はそのような講義を自主休講していたものです。
    私が気になっているのは(=地雷の所在は)、学者のみならず(法律)実務家の間にも「こういったスキル」を軽視する傾向が一部で見られるのではないかという点です。杞憂だと良いのですが、「○試験の択一は○試験よりもずっと易しい」などという意見がインターネットで広く見られるのにつけ、悲しくなります。

  7. 磯崎さんごめんなさい、おおすぎさんとの交換日記になってます(苦笑)
    >おおすぎさま
    そうなんですよね。
    たぶん、お作法の部分と「条文を読む訓練」のところまでやってくださってたら御の字ということなんでしょうかね。
    ろじゃあが仮に同じ立場だったらどうかは別ですが(笑)。
    一時期不思議だったのは、政令とか省令の具体的規定に言及しないで特別法についての特定の制度について概念規定をされて、議論がそのまま進んでしまって、実務での特別法における当てはめの問題とかがすっ飛んでしまうような現象がなぜ起こるのか・・・もう20数年前の話にしておきますが(苦笑)・・・でございました。
    その意味では、一連の過払金判決については最高裁レベルで省令とかの具体的条文の意味合いとかが議論されているようになってる現状というのはどう考えるべきなのかというのは結構これらのお話に繋がるお話だと思うんですけどねぇ。
    すいません、少し与太話に入りつつあるようです。
    ごめんなさい。

  8. 条文がよめない?・・・磯崎さんのエントリーを拝読して(2):民商法とかならわかりますけど特別法はちょっと・・・はぁ?

    このエントリーは公開時刻自動設定機能によりエントリーしております。 なんか、磯崎

  9. 「会社法以外は」というところで、笑ってしまいました。
    現在の立法のあり方を考えると、一見、「わかりにくい」というのは仕方がないのでしょう。
     その原因は、3つあります。
    1 改正を繰り返すたびに、細かい話が多くなること
    民法のようにほとんど改正がなく、判例にまかせきりにすれば、細かいことを書かなくてもすみますが(逆に改正された部分は、わかりにくいでしょう。根抵当とか・・)、商法のように何回も改正されるとわかりにくくなる。金商法だって同じです。
     学者の先生が書かれる基本書も、最初は、すごくシンプルでわかりやすいのですが、改定を重ねるたび、ページ数が増えて、注が増えて、わかりにくくなる。それも、根っこは同じです。
    2 内閣法制局の好み
     法制局が、プロになればなるほど、独自のルールが増えてきて、複雑になります。
    3 昔の司法試験が基本法を中心としていること
     最近は、会社法や行政法が司法試験の範囲なので、読み方になれた法曹が誕生しつつありますが、昔は、会社法はなく、行政法は必修じゃなかったので(私は行政法選択でしたが)、法曹は、今風の条文に慣れていないのが普通でした。
    学者も法曹もプロなので、今風の条文になれなければならないはずなのですが、なかなか難しいですね。
    条文に反する解釈論が通説だったりすると、結構、悲しくなります。

  10. 葉玉センセへ
    相変わらずストレートですなあ(笑)。
    判例にまかせきりにしておいたところに特別法により改正しちゃったのが(動産)債権譲渡特例法です。
    あの条文、最高裁の判例の到達主義を抜きにして読もうとすると訳がわからなくなりますよね。
    サービサー法も同様で、弁護士法の第72条と第73条の理解がない人が読むとなんでああいう条文の建付けなのかわからなくなる可能性があります。
    まあ、しょうがないとは思うんですけどねえ。
    だったら、少なくとも業法では最後の省令の部分で一般条項的な書きぶりをしなきゃいいのにと思うのですが、最近はこのパターンが増えているような気がします。
    そもそも一般法と特別法の関係をどうややこしく考えればええねんと言いたくなる場合もあるのですが・・・これはまたブログでエントリーすることにします。
    もう少し日付をづらせば大阪でお会いできたかもしれないのに残念なろじゃあでございました(まあこの間お会いしましたのでそれで十分かもしれませんが)。