ブルドック、新株予約権取得決定(と、その相場への影響、税務、会計、紛争)

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ブルドックソースの買収防衛策で、発行した新株予約権を(一般株主は普通株式対価、スティールは現金対価で)8月9日に取得するリリースが出ています。
https://www.release.tdnet.info/inbs/47180b90_20070724.pdf
取得自体はいいのですが、相場への影響、税務、会計、裁判所関係もいろいろ情報が詰まってます。


株券の交付と相場への影響
今までは、本当に新株が交付されるかどうかわかりませんが、これで、「真の(?)権利落ち」になるかと思いきや、

なお、かかる株券の送付は、現在の株券の印刷のスケジュール等から、8月末から9月上旬を予定しております。

とのことなので、あと1ヶ月以上、「4分割」した3分の4は売買できない「品薄状態」は続くということでしょうか?(株式分割と同様の手当てはされない、ということですよね?)
昨日の終値は810円。
(ほとんど無いとは思いますが)、まだ抗告が認められるかどうか、とか、最高裁の判断によっては差し止めが行われる可能性もゼロではないでしょうし、こうした「品薄」が続くとすると、新株予約権の買い取り価格(「分割」後の理論価格に近いと考えられる)396円よりは高値で推移する状況が続くのでしょうか。
税務

本日、東京国税局より、当社の平成19年7月9日付け「新株予約権発行差止め仮処分命令申立てに係る抗告の棄却に関するお知らせ」においてお知らせした同日(7月9日)付けの東京高等裁判所の決定を前提として、一般株主の皆様から本要項第10項(1)に基づき本新株予約権を取得しその対価として当社株式を交付しても、一般株主の皆様に課税上の問題が生じない旨、及び、かかる取扱いは、非適格者(☆ご参照)から本要項第10項(2)に基づき本新株予約権を取得しその対価として金銭を交付する場合であっても影響を受けない旨の回答を得ました。

(下線部、筆者。)
とのこと。
税務上当然のような気もしますが、「東京高等裁判所の決定を前提として」というのは、東京国税局としては、「今回はいいけど、一般的にどんな場合でも無償割当てした新株予約権を株式対価で取得するときに課税上の問題が発生しないとは思うなよ。」という意味でしょうか。
「非適格者から本新株予約権を取得しその対価として金銭を交付する場合であっても影響を受けない」というのも、396円という価格や「非適格者」の持ち株比率によっては、当然、実質的に経済的持分の株主間での移転が起こる可能性があるから、なんでもかんでもOKというのではないというのは当然ではあります。
ということは、今後も、実務としては、同様の買収防衛策を発動するたびに税務当局への照会は必要になるということでしょうか。
会計

 なお、これにより当社からは、本新株予約権の取得の対価として約23億円の金銭が支払われる見込みですが、これに伴う当社の業績等への影響につきましては、現在公認会計士等の専門家にも確認しており、明らかになり次第開示いたします(以下略)

とのことです。
うーん、「損失」として処理するのか、資本取引として処理するのか、税務上、損金として処理するのかどうか。・・・興味津々ですね。
最高裁方面

このうち、許可抗告については、本日、許可抗告申立の理由書を受領しましたがが、特別抗告については、当社は未だ特別抗告の抗告理由書を受領しておりません。

とのことなので、まだ最高裁のほうは始まってもいなかったんですね。
(ではまた。)

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ブルドック、新株予約権取得決定(と、その相場への影響、税務、会計、紛争)” への3件のコメント

  1. 【ニュース】7月26日〜ブルドッグの件を自分なりにまとめてみた

     ブルドックのニュースについて、過去の新聞記事・経済系ブログ・taxML等を読みまくり、やっと自分の中で整理ができました(遅)。
    朝日/ブルドック、8月…

  2. 論点:今回の新株予約権モデルの理論的建付け
    多くの議論が、�株式分割+�金庫株買付という建付けにしていますが、それでよいのでしょうか。私たちは、以下の通りに考えます。イソログパパラッチの我々はそれをさらに議論を尽くしてみました。
    �多くの株式が失権することが想定される株主割当増資は事実上第三者割当と考えるべきです。それと同じ理屈ではないでしょうか。スティールの有する新株予約権は発行時点で行使されないとわかっておりますので、逆に他の株主に付与された新株予約権が買収防衛のために行使されれば、結果、第三者割当増資といってよい。しかも、無償による第三者割当ですから、特に有利な価格で発行する新株予約権の募集に該当すると考えます(238条3項)。特に有利な価格で発行する新株予約権が付与されれば、株主としての潜在シェアは大幅に変動するわけですから、経済的利益はその他の株主に移転します(少なくとも残余財産分配権比率は従前より増加している)。問題は、誰から誰に当該経済的利益が移転したかですが、これは会社の資本勘定内で利益剰余金を原資とする無償増資に近く、結果、みなし配当にやはり該当する。ただし、これで一般株主を混乱させ、この新株予約権スキームが実現しないと困るので、課税当局が例外的に妥協したとみるべきではないでしょうか。�これは、会社法120条に定める、株主の権利行使に関する利益供与と考えるべき、会計は寄付金と扱うべき、したがって、税務は損金算入限度額超過分は自己否認となるのではないでしょうか。旧商法時代の議論ですが、総会屋の議決権行使に便宜を図るために金品を渡せば、利益供与とされました。これは誰の権利を守るためかといえばマネジメントの経営権を守るためでした。敵対的買収防衛策も本質的にはマネジメントの経営権を守るために特定の株主の議決権を制限するためのものですが、今回のように、無償で発行した新株予約権を有償で買取るならば、それは議決権行使に便宜を図るための利益供与と等しい。すなわち、寄付行為です。課税当局が株主の課税関係については見解を出しているようですが、会社の課税については議論は全く尽くされていません。

  3. �の「この新株予約権スキームが実現しないと困る」、�の「敵対的買収防衛策も本質的にはマネジメントの経営権を守るため」のどちらの価値判断に課税当局が立つのか次第で結論が変わってくると思います。だから課税当局は最高裁の判断を待っているのでしょう。ズルイようですが、同じ国の機関なので平仄をとりたいというのもありますし、課税に不満が出れば租税裁判になる可能性もあるので、価値判断の部分は結局は裁判所がどうみるか次第ということなのでしょうね。
    総会屋への利益供与との違いがあるとすれば、株主総会というオープンなプロセスを経ているということでしょうね。ただしその内容が公正かどうかの判断は、いったん裁判所に持ち込まれた以上、やはり裁判所の見解が確定するのを待つしかないのでしょう。
    (裁判所がどう判断すべきか、というのを検討議論するのは大いに有意義だと思います。国立大学の租税法の教授には「みんながどんどん租税裁判で争えばいい。そうすれば自然に判例が収束してくる」みたいな言い方をする方がいるようですが、だったら国費で租税法研究者を雇う意義はどこにあるの?と言いたくなります。裁判を起こす前に、もしくは裁判を長期化させる前に、当事者双方が納得できるような考え方を整理普及することが、法学者の社会的役割ではないでしょうか。と脱線した愚痴みたいになってスミマセン。