漁業のサステナビリティ

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本日発売のビッグコミックオリジナルに連載されている「築地魚河岸三代目
築地魚河岸三代目 20 (20)
に出てきた、「持続可能な漁業」を推進する非営利団体「MSC」について。


The Marine Stewardship Council (MSC)
http://www.msc.org/
同マンガによると、MSC設立のきっかけは、1997年にカナダ東部の良質な漁場が乱獲によって崩壊し、4万人もの失業者を生み出すとともに、タラを原料とした加工食品を製造していた「ユニリーバ」も痛手を受けたことによって設立された、とのこと。
以前、「フェアトレード、NPOの戦略、認証・監査」
http://www.tez.com/blog/archives/000664.html
で紹介させていただいたFLO(Fairtrade Labelling Organizations International)
http://www.fairtrade.net/
と似たようなしくみの模様です。
ただし、FLOのホームページがISO的な認証の詳細な規定集の様相を呈していたのに対して、MSCのホームページはかなりすっきりしています。
マンガ中に出てくるセリフとしても、MSCが定めている非常にざっくりとした「原則」だけだと、相手によっては原則を都合の良いように解釈しているかも知れない、という危惧があるわけですが、驚いたことに、

「MSC」認証の審査においてどんな審査が行われているか私たち(注:MSC)は知らない

とのこと。
なぜかということを考えてみたのですが、コーヒーとかチョコレートとかバナナとかいった、零細業者や搾取されたり児童労働が行われるリスクのある産品は、ある程度定型化できるので、規定をきちっと作っていくことでシステムは洗練されていくのに対して、魚の場合には、

海域や魚種、創業方法など各国各地の漁業によって、審査すべき事柄は多種多様にわたります。
その為それぞれに適した専門の認証機関に審査をゆだねなければならないということもあります。

それに加え、(中略)、審査を受ける漁業と直接関わることで審査結果に影響が出ることを防ぐためもあります。
何かを認証するということは、どこからも利害や影響を受けない独立性がとても大事なのです。
審査において我々は各認証機関の公正性をチェックしているのです。

ということ。
相手が(弱い立場であるとは言え)「人間」である農産物と、相手が「自然」である海産物の違い、ということかも知れません。
「自然」のすべてに対応した規定を作ろうとするとオーバーヘッドが大きくなりすぎて無理が出てくるので、非常に「分散型」の認証体系になってるわけですね。
FLOが(ISOが好きそうな)「ヨーロッパ」発祥であるのに対して、MSCは「米国」発祥、という違いもあるのかも知れません。
実際に、MSC認証を受けた水揚高は世界で消費される天然魚の7%に上るとのことで、気づきませんがすでにかなりの量になってるんですね。
フェアトレードのほうは、(スターバックスの商品を見る限り)あまり認証を受けるシェアが伸びていっている感じがしないので、やはり、「分散型」の認証を採用した戦略の方があたってるかも知れません。
こういう「認証」も、そうした認証が存在し、その認証がついていることが付加価値があるという認知を広げ「デファクト」を構築することが重要だと思いますので、「いかにきちっとした体系を構築するか」よりも、「仮に多少アラがあったとしても、急速にシェアを拡大する」ほうが戦略として正しいのかもしれません。
(ではまた。)

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