本日の素朴な疑問(「ベルシステム24の第三者割当増資は差し止められるべきだったんじゃないの?」)

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先日もご紹介した、2006年1月12日の日本経済新聞朝刊4面の記事、「買収ファンドの実相(中)近くて遠い回収の道——割安な案件も少なく。」に、

(略)コールセンター大手のベルシステム24の株主資本が〇五年七月に千三百億円、率にして九割弱減った。同社を買収した日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)から自社株を買い戻し、消却したからだ。
 日興コーディアルグループ系のNPIは〇四年、総額二千四百億円でベルを買収した。ベルの大株主だったCSKとの法廷闘争の末、一千億円超の第三者割当増資を引き受けた経緯がある。増資資金を上回るおカネがNPIに戻った。
 「ベルは過剰資本になっていた」とNPIの平野博文会長は言う(以下略)

ということが書いてあります。
(この減資等については、プレスリリースも出ていない模様。)
地裁と高裁の仮処分申請却下の決定が手元にないんですが、確か、「主要目的ルール」に基づいて、ソフトバンクグループのコールセンター業務を買収するなどの事業目的に資金が必要だから第三者割当増資します、ということで法廷で争って勝ったんじゃなかったでしたっけ?
ちなみに、増資前増資後の連結B/Sは、下記のとおり。
image002.gif
増資前の自己資本比率は7割超もありましたが、これくらい安定してキャッシュを生み出す事業であれば、もっとレバレッジはかけられたでしょうし、ソフトバンクグループからコールセンターを引き取る際に、キャッシュとエクイティを組み合わせて支払うという手もあったかと。
「株主資本が九割弱減った」
「ベルは過剰資本になっていた」
・・・って今頃言われても・・・・、結局、増資する必要なかったじゃん?(やっぱり、CSKグループから逃れたいためだけの増資・・・すなわち、「主要目的ルール」には反する増資・・・だったんですね?)、という感じであります。
(裁判所をナメた罪、というのは無いんでしたっけ。)

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本日の素朴な疑問(「ベルシステム24の第三者割当増資は差し止められるべきだったんじゃないの?」)” への3件のコメント

  1. 2004年8月のベルシステム24の増資も、発行済み株式数を上回る増資を行った結果、NPIHが突然過半数の株式を保有するに至った。当時ベルシステム24は一部上場企業であったわけで、TOBなしに上場企業の過半数株主が出現することの異常さを感じます。
    さらに、当時の日興コーディアルの連結キャッシュフロー計算書を眺めてみたのですが、営業貸付金と短期借入金がその前の年度と比べて変化が大きい。これを使ったのかなと思った次第です。いずれにせよ、NPIHが単独で2400億円の資金を調達できるわけがない。一担当でも何でもない日興コーディアルが全社的に取り組んだディールなのだと思うのです。

  2. 磯崎先生
    初投稿ご容赦ください。
    英米法系の「裁判所侮辱(contempt of court)」では、過料、あるいは牢屋にぶち込むっていう制裁が待っています。たとえば、差止命令違反は、裁判所の円滑な司法運営を妨げるので、裁判所侮辱に該当します。日本では、仮処分命令に違反して新株発行を強行した、なんて事件がありましたが(いなげや・忠実屋事件)、裁判所からみたら、関係者を縛り首にしたいところでしょう(←ウソ)。
    ベルシステムの地裁決定文をみたら、「現経営陣の一部が,債権者の持株比率を低下させて,自らの支配権を維持する意図を有していたことが推認できないではない」とか、「本件事業計画の実施により債務者はソフトバンクグループのクレジットリスクに曝されることになるが,総合的にみれば許容すべきリスク」といった文字が躍っています。ご参考までに。