アインシュタイン「奇跡の年」から100年

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先日、商社の金融部門のエラい方とかREITのCFOの方とかの金融関係者で食事しているときに、なぜか「奇跡の年から100年—アインシュタインの3つの理論」という東工大での講演を聞きに行こう!、ということで盛り上がりまして、本日行って参りました。

社団法人 日本物理学会2005年度公開講座
奇跡の年から100年—アインシュタインの3つの理論
会  場:東京工業大学大岡山キャンパス西9号館デジタル多目的ホール
対  象: 高校生/大学生/中学・高校の理科の先生/そのほか一般社会人
プログラム:
○ 特殊相対性理論:光と同時性からの革命
風間 洋一 (東大総合文化)
○Brown運動の理論:ほろ酔い機嫌のアインシュタインに学ぶ
保江 邦夫 (ノートルダム清心女子大)
○ アインシュタインが「奇跡の年」にいたるまで,およびその後
安孫子 誠也 (聖隷クリストファー大学)

アインシュタインの発想はそれまでの人とどう違ったのか
今から100年前の1905年たった1年間に、弱冠26歳のアインシュタインは、「光量子仮説」、「ブラウン運動」、「特殊相対性理論」といった、一つだけとってもノーベル賞ものの論文を立て続けに発表しましたが、風間先生は、これらの業績とそれまでの説の考え方がどう違うかについて、数式を使いながらもわかりやすく解説。人間が世界を理解する方法というか「スキーマ」というか、そういうものがどう転換していくか、の片鱗を見せていただいた気がしました。
風間先生の推薦本
einstein11.jpg
相対性理論
岩波文庫(アインシュタインの原論文)
A. アインシュタイン (著), 内山 龍雄 (翻訳)
相対性理論入門講義 現代物理学入門講義シリーズ
風間 洋一 (著) 培風館
ブラウン運動とは何か
保江先生は、この日のために2週間かけてヒゲをのばし、アインシュタインそっくりの顔つきになって登場。「ブラウン運動」の名前の元になった植物学者ブラウンのフルネームが「Robert Brown」だ、ということで、自ら壇上で酔っぱらいの千鳥足を熱演、女子高生がメジャーで歩幅を測ったりして、ブラウン運動についてわかりやすく解説。
アインシュタインの業績の一つに、ブラウン運動する粒子の移動距離(x)が、移動し始めたときからの時間(t)の√(平方根)に比例するということを示した、ということがあるとのことですが、熱演のおかげもあり、(VaR [Value at Risk]など、価値がランダムウォークする資産のリスクも、ご案内の通り「√」がつくわけですが、)、そのへんが体感的に非常によくわかりました。
ちなみに、保江先生、金融関係の本も書かれています。
einstein21.jpg
Excelで学ぶ金融市場予測の科学
—市場を動かす中心金融定理とは何か ブルーバックス
保江 邦夫
einstein22.jpg
Excelで学ぶ金融市場予測の科学
ブラック-ショールズ理論完全制覇 ブルーバックス
保江 邦夫
ブラウン運動と相対論はどう関係があったのか
さて、アインシュタインがノーベル賞を取ったのは、相対性理論ではなくブラウン運動だかった、というのは存じてましたが、相対性理論や光量子仮説とブラウン運動が何の関係があんねん?、というのが長年の疑問でした。(追記11/6,17:19:アインシュタインがノーベル賞を取ったのは、光電効果で、でした。大変失礼しました。)
我孫子先生の講義は、アインシュタインの頭のなかで、それらがどうつながって、「奇跡の年」の多様な論文に繋がっていったのか、ということを、アインシュタインの生い立ちから科学史的に解説。
「なるほど、一見、何の関係も無いようなことが、アインシュタインの頭の中では全部つながってたんだ」ということがわかって、大変スッキリ。
つまり、「ブラウン運動的なモノの考え方」というのは、単に花粉(正確には花粉が破裂して出る微粒子など)が水の上でチョコチョコ動く話、という話ではなく、多数のモノが動いている世の中の森羅万象を表す一つのモデルだ、ということですね。
ブラウン運動の研究がなければ、今のオプション理論もMSCB(転換価額修正条項付転換社債)もなかったわけで、改めてアインシュタインの偉大さに感服。
我孫子先生は、そうした業績から晩年の平和活動までが、「アインシュタインの頭のなかでどうつながっていたのか」の研究に半生を捧げてこられた、とのことで、その集大成が昨年出された下記の本だそうです。
einstein31.jpg
アインシュタイン相対性理論の誕生
講談社現代新書
安孫子 誠也 (著)
(ではまた。)

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アインシュタイン「奇跡の年」から100年” への6件のコメント

  1. はじめまして。私、磯崎様のブログの大ファンでございます。
    最近のブログを拝見しても、ハッスルマニアからアインシュタインですか・・・その懐の深さがすばらしいです。磯崎様のブログを拝見していると、自分まで賢くなれたような錯覚に襲われます。
    税務に携わるものとしては、発想の柔軟性が重要で(どの仕事でもそうかもしれませんが)、節税策も、「遊び心」がなくてはならないと常々考えております。
    これからも、すばらしい記事を期待しております。
    (追記:isologue、勝手にリンクさせて頂いております。)

  2. どうもありがとうございます。
    >磯崎様のブログを拝見していると、自分まで賢くなれたような錯覚に襲われます。
    私もときどき、書いてて自分で賢くなったような錯覚に襲われるんですよ。(わはははは。)

  3. アインシュタインは累進課税を正当化する

    年収3億円の人は年収300万円の人より100倍豊かか? 確かに質量のみで限定すればそうだろう。しかし、時間を係数にして、
    Affluent=Money×Time
    とすれば、そうも言えない。マネー版アインシュタインの相対性原理が働くからだ。(写真)

  4.  はじめまして、私も相対性理論とブラウン運動との兼ね合い、リンクの仕方がはっきりと分かりませんでしたが、こちらでこれからは勉強させて頂きますね〜!、ではまたお邪魔致します。(TBさせて頂きました〜)