The Fog of War

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映画館で見る機会を逃したのですが、レンタルビデオ屋に来ていたので見てみました。
the_fog_of_war.jpg
これは面白い!の一言。
マイケル・ムーアの華氏911が、ただのアホに見えます。
アマゾンのレビュー曰く;

ケネディとジョンソン。ふたりの大統領の下で国防長官を務めたロバート・S・マクナマラの人生に、本人へのインタビューとともに迫っていく。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞作。太平洋戦争で日本への爆撃作戦に参加し、フォード自動車の社長を経て、国防長官としてはベトナム戦争など重要な局面で大統領をサポート。(以下略)

とのことですが、マクナマラがハーバード等で統計的手法を学んで、(ウスウスは知ってましたが)これほどまでに「MBAっぽい」というか「戦略コンサルタントっぽい」人だというのは存じませんでした。
第二次世界大戦次にすでに統計的・科学的考え方を使って東京大空襲が決行された、というのは聞いてましたが、それがマクナマラ他の統計的分析とルメイ将軍の「好戦的」(≒非論理的)な意思決定とが結びついて実行されていた、というところも非常に興味深い。
(「戦争」だけでなく、敵対的買収やその防衛時など、経営における「戦時」の意思決定というのがどういうものになるかを想像するのにも、非常に参考になると思います。)
インタビューは11の教訓に分けて構成されているのですが、その中で、「Lesson #2: Rationality will not save us.」が、最も象徴的かと。
マクナマラ氏曰く;
キューバ危機で核戦争を回避できたのは単なる「luck」だった。ケネディもフルシチョフもカストロもみんな「rational」だったが、それでも人類は全滅の寸前まで行ってしまった。そして、それを回避できたのは、単なる「luck」によるものだった。
と、「luck」という言葉を何度も強調しているのが非常に印象的。
経営のしくみでも、ゲームの参加者全員が合理的に行動するとして、それがうまい落としどころに落ち込むように設計しておくというのは、必要なことではあると思いますが、それと、戦時に参加者全員が実際合理的に行動するかどうか、というのは全く別の話なんでしょう。
DVDの特典映像として映画でカットされたインタビューも載っているのですが、
「(マクナマラ氏が)戦後フォード社に入った時には、フォードは創業以来、一度も財務諸表を作ったことが無かった。」
という驚愕の事実も話されていて、これまた非常に興味深い。
監査とか内部統制とか、財務会計の体系というのが洗練されてきたのは、人類の歴史の中で極めて最近のことということですね。
粉飾事件などが起こると、「こうした体系自体、大丈夫なのか?」と暗澹たる気になりますが、それでもそうしたしくみは着実に進化を遂げてきている、ということかと思います。
経済学的に言うと「限定された合理性」というキーワードで貫かれた作品、と言えるかも知れません。
経営の意思決定に関わる方は、ぜひ一家に一枚、お買い求めください。:-)
(ではまた。)

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The Fog of War” への6件のコメント

  1. 喧嘩が嫌なら金持ちにしてしまえ

    原油と屑鉄を禁輸されてこの国がどう行動したのか、慎太郎君は忘れてしまったらしい。
    親日派のための弁明
    金 完燮
    大西 宏のマーケティング・エッセンス:石原さん、発想が面白すぎますそこまではよしとして、だから軍事力ではなく、経済で中国を封じこめよ…

  2. 非協力ゲームのナッシュ均衡っていうやつですかね?
    マクナマラといえば、キューバ危機の海上封鎖を
    ケネディーに具申したのが有名ですね。
    ケビン・コスナーの「13デイズ」でのセリフが印象的です。
    You don’t understand the thing, do you Admiral?
    This is not just a blocade! This is a language,
    a new vocabulary, of which President Kennedy is
    communicating with Secretary Khrusichov!!!
    コミュニケーションの共通基盤がないと進むものも
    前にすすまないということで・・・。

  3. 「限定された合理性」
    昨年の会計士試験の経営学に出題された記憶が…
    そういう意味では私にとって「旬」なDVDなのかもしれません。
    しかし、まずはDVDプレイヤーを買わないと(爆)

  4. 昨日はどうも。
    私も観ました。
    ハルバースタム著「ベスト&ブライテスト」をもう一度、読み返したくなりました。
    最良、最優秀のエリートたちはなぜ間違えたか?
    この映画は、結果的に、マクナマラの贖罪を間接的に表現したのではないですか。
    最良でも、最優秀でもないどこかの国の政治家は、もっと間違うか、案外間違わないのか、
    大変興味深いです。
    対照的に、「ルービン回顧録」はまだ明るいサイドの内容でしたね。
    「あまりに高いIQの持ち主は、ファンドマネジャーに向かない」と、ピーター・リンチは言っていますね。世の中の限定合理性を体感していないと、何事もうまくいかないということでしょうか。
    PS アインシュタインがノーベル賞を受賞したのは、光量子仮説ではなかったですか?

  5. >PS アインシュタインがノーベル賞を受賞したのは、光量子仮説ではなかったですか?
    失礼、ブラウン運動じゃなかったですね。
    ま、相対論でノーベル賞を取ったのではない、というところまではアタリということで、ご勘弁ください。
    (ではでは〜。)