阪神電鉄株における村上ファンドの海面急浮上戦法
ニッポン放送のときは、大量保有報告書をわざわざ東証とか霞が関あたりまで閲覧に行かないといけなかったわけですが、(このあたりのエントリーをご参照)、この10月3日より、めでたくインターネットのEDINETでも閲覧可能になりました。
注:
http://info.edinet.go.jp/EdiHtml/main.htm
で、「有価証券報告書等の閲覧」のボタンをクリック、「EDINETコード検索」で阪神電気鉄道株式会社のEDINETコード「611018」を入力、阪神のページを表示し、「発行者以外の提出書類および関連書類」のラジオボタンをクリックすると出てきます。
さて、お手軽に入手できるようになった この大量保有報告書から数字をピックアップすると、村上ファンド(株式会社MACアセットマネジメント)の持株数(潜在株式数を含む)の推移は以下の通り。
注:
10%、33%のラインは、村上ファンドが報告する株券等保有割合の分母から計算した比率(大ざっぱなもの)。10月1日に株式交換で発行済株式数が増加したほか、村上ファンドが取得した潜在株式分を加算しているので、若干右上がりの線になってます。
9月15日に「株券等保有割合」が14.89%を超えて報告義務が発生したとして26日に大量保有報告が出ているわけです。(同日に、株券1,877,000株を市場で取得、転換社債を21,623,762株分を、市場と市場外[おそらく]で取得。)
では、その前日の14日には5%を超えていなかったかというとそうではなくて、8.99%分(30,888,000株)の株式を保有しているわけです。ところが、これをいつ何株づつ取得したかは「最近60日間の取得または処分の状況」にも取引の記録はありません。
ニッポン放送のときの復習になりますが、村上ファンドさんのような投資顧問業者をはじめ、銀行、証券等は、証券取引法27条の26第1項で、3ヶ月ごとの基準日に締めて、そのときに5%を超えていたらはじめて翌月の15日までに報告しなければならないことになるわけです。
ただし、10%を超えるとこの例外は適用されないので、「5日」(ただし休日を除く。証券取引法施行令14条の5参照)以内に報告をしないといけません。(法27条の23、株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令11条、12条参照。)
つまり、村上ファンドさんは、10%ギリギリまで取得した後、60日間「機関停止」して海底に密かに沈んで沈黙、9月の3連休×2回を使って報告義務を最大に引き延ばして26日(11日も後)に報告して突如海面に浮上してきているわけですね。
報告を行った26日には図の通り、時すでに遅し、3分の1超を取得した後、ということになってます。
(「沈黙の艦隊」の海江田艦長もびっくりの「操艦」。)
ちなみに(当然というか)、15日から取得した転換社債の転換も26日から行使請求しはじめてます。
(今回、阪神百貨店の株式交換があったので、データを見る前は、株式交換を使って33%越えを達成したのかとも想像したのですが、そうではなく、それ以前から33%は超えていたようですね。百貨店の33%超を取得してないと、阪神電鉄側の持株比率が33%未満から33%超に跳ね上がることはないので、もともとちょっと難しかった・・・。)
こうも見事に連休明けに報告していることから考えると、これは偶然ではなく、この連休から逆算して15日に10%超を超えているとしか思えないですね。
教訓:上場企業の方は、大型飛び石連休にご注意。
ファンドに特例を認める必要はあるのか?
ニッポン放送のときにも思ったんですが、立法論として、こうしたファンド=投資顧問業者に特例を認める必要はあるんでしょうか?
村上ファンドさんはもちろん法令に沿って行動されてらっしゃるので、それを非難するわけではないんですが、上場企業の側からすれば「こうした株主」にこそ、できるだけ早く報告をしてもらいたいところじゃないですか。
証券会社等は、大量の株式を扱って事務が繁雑なので報告が大変でしょ?、というのが特例を付けた理由だと思いますが、たまたま小型株の5%超を取得しちゃったそこらへんのオッサンより、証券会社等のプロの方がバックオフィスの体制がしっかりしてるに決まっているわけですし、システム的にデイリーに持株比率が把握できてないなんてことはありえない。今どき、Excelでも計算できるわけですし、提出も電子的に行えるわけで。
証券会社や投資顧問業者も、素直に5%を超したら5日以内に報告するよう法改正、ということにならないんでしょうか?
(ではまた。)


コメント
ファンドに特例が認められるのは
「頻繁な売買を行う者の事務負担を軽減する為」
ですが…これでは
「大人買い&影響力行使によるリターン」
を目的とするファンドに対しては「特例」ではなく「抜け道」になりえますよね。
この特例の見直しをJOLFの一件の際に検討した、と記憶していますが…
どうなったのか音沙汰ないですね(^^;
相手役のベネット大統領も手に汗握る展開…どうなるのでしょう(違)
Posted by: angelus : October 5, 2005 | 5:41 PM
ろじゃあです
TBありがとうございます。
エントリー滞ってたので時期がずれたエントリーで恐縮ですが再加工してエントリーしておきました。んでTBつけさせていただきました。六甲おろしバスケットの償還時期とか確認しておりません。申し訳ないっす。
磯崎さんおっしゃってるように休日ってここ10年で相当増えてなお且つ集約されるようになってるので活用の幅が広がったんだと思います。戦略をたてる方々はこの「カレンダーの吟味」を相当意識しておられるんでしょうねえ。やはり操艦術の重要な要素なんだと思います。
Posted by: ろじゃあ : October 5, 2005 | 7:07 PM
判り易いグラフ作成の手間に感謝と敬意を!紙版の新聞解説では、???でした。取敢えずThanks.
Posted by: snowbees : October 6, 2005 | 7:27 AM
こんにちは。
TB失礼しますね(^^)
Posted by: エツロ〜 : October 10, 2005 | 12:31 PM