ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのか

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今朝方、ふとんの中で考えていた話。
「ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのかどうか」
−−−
最近は、インターネット黎明期と違ってAdwordsなど小銭が稼げるツールが増えてきていることもあり、(SNSやブログ関連などをはじめ)それほど資金を必要とせずに順調に売上や規模を拡大していけるビジネスモデルというのが結構でてきました。
一方、株式公開を目指すことは、(好きではじめた本業だけじゃなく)、内部統制とか監査とかIRとか、非常に辛くややこしい作業を伴います。


 
毎月の支出が収入の範囲に収まっているという状況では私の出る幕はあまりないので、ホントは、公開を目指したりファイナンスをしていっていただいたほうがいいわけですが、「内部統制や規程整備がやりたくてベンチャーをはじめました!」てな人はいるわけないので、あまり強くオススメするのも、ねえ。
というか、「公開を考えたいんだけど」とベンチャーの経営者から相談を受けることはよくあるのですが、「やめといた方がいいよ」とか「よく考えた方がいいよ」とアドバイスさせていただくことのほうが多いです。
後で公開準備や公開後の大変さを知って、恨まれてもなんですし。(笑)
ただ、ベンチャーキャピタル等の投資家の投資を受けると、好むと好まざるとに関わらず、公開を目指さないわけにはいかなくなるわけです。
投資を受けなくても少人数の社員がそこそこいい暮らしをできるとしたら、「合理的」に考えれば、投資なんか受けずにのんびりやっていたほうがいいはず。
事業を立ち上げるのに大量の資金が必要とか、放っておくと資金がショートするとかいうならともかく、そのままでもやっていけるのに、なぜ、リスクがあって、つらいことになるかも知れない投資を受けるのか。
確かに、資金を受けたら受けたで、投資家つながりで世界が広がったりして、それはそれでいいこともあるわけですし、内部統制をきちっと行えるようになることで、会社が次の段階に飛躍するための土台になったりもするわけですが。
−−−
と考えてくると、ベンチャーキャピタルから資金を入れる行為というのは、「結婚」と似てるかも知れないな、と。
ここで、収入がそこそこあって社会的にも認められつつあり、自宅から通勤している独身キャリアウーマン32歳、てな方がいると思ってください。
結婚すれば、出産、子育て(幼稚園→小学校→中学校→高校→大学)等、必ずしも今やりたくないこともやらざるを得ないことになるかも知れないのはわかっているし、付き合っている彼も今は調子がいいこと言ってちやほやしてくれるけど、結婚してずっと幸せにしてくれるかどうかなんて保証の限りではない。
・・・と言った場合に「結婚」を選択するのが「合理的」なのかどうか。
「合理的」ではないと思うんですよね。「理屈」で言ったら、独身のまま過ごすという選択肢もあるし、理性的な父親ほど結婚のリスクはわかっているので、かわいい娘であればなおさら「女の幸せは結婚だから早く結婚しろ」なんてことは言わない。ただ、もちろん、結婚して幸せになる方もいっぱいいらっしゃいます。
きれいに言えば、結婚は「合理」の産物ではなく、「ロマン」の産物ということでしょうか。
ベンチャー投資も、「いい企業」にはたくさん投資家が言い寄ってくるわけですが、もちろん、「口だけの男」もいれば、「結婚」してホントにその企業の世界を広げてくれる投資家もいるわけで。また、一つの企業にとっていい投資家が、必ず他のベンチャー企業の「よき夫」になるかというと、必ずしもそうでもないかも知れないところが難しいところですね。(結婚だと「バツn」(nは自然数)になるところが、投資家だと「トラックレコード」になるので、結婚よりは投資を受ける方が合理的かも知れませんが。)
同じ投資でも、企業再生とか不動産ファンドとかの場合には、どういう財務的スキームにするかは「合理」で決まってくる部分が多い気がしますが、ベンチャー企業が投資を受けるのは「合理」だけでなく、「ロマン」が必要かも知れませんね。
(ではまた。)

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ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのか” への11件のコメント

  1. 初めてコメントします。こちらのブログは結構難しい話しに入っていくと私などはついて行けなくなるケースもありますが、がんばって勉強させてもらってます。今回の話にちょっと本題とは違う趣旨なのですが・・・
    合理的であること。結婚する段階でその判断ができるケースは多くはないと思いますが、結婚生活を継続していく中で今の状況を継続していくことが合理的であるという判断はあるかもしれないですね。ロマンで結婚して結婚生活を継続したほうが合理的であるという状況は多くの男女がそうであろうと思えるのですが。まあ離婚したほうが合理的であるという状況もあまり多くはないかもしれないですね。
    結婚においてロマンが持続するというのはかなり素晴らしいことではないでしょうか。経営においてロマンが持続することのほうが可能性が高いですよね。いずれもロマンで突入するわけですがそういう意味では幸せな結婚生活をしている人というのは名経営者よりも立派なのかもしれませんね。人たらしは仕事ができる人の条件とは言いますが、自分の配偶者もたらし続けている名経営者というのもいるのでしょうか。なんかどんどん本題から離れていくみたいで申し訳ありません。これからも楽しみにしています。

  2. 日本技術開発の適時開示が
    3本出てますね。
    なかなか、味わい深い内容です。

  3. なんか今ひとつするっと飲み込めないのは、「結婚」でしか得られないものはいろいろあるけれど、「投資を受ける」によってしか得られないものって何?、というのがつかえてる気がします。
    現在のバランスをとるか、バリヤを超えて高い励起状態に向かうか、というジレンマの例としては、結婚はわかりやすいかもしれないけれど、千差万別すぎてしっくりしないかもしれません。
    「井口はダイエーに残るべきだったか、メジャーにいくべきだったかモデル」の方がよいかも。(中村とかでも可)

  4. ベンチャー企業は投資で何を得るか

    「金」という答えでは、合格点は上げられない。
    isologue −by 磯崎哲也事務所 Tetsuya Isozaki & Associates: ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのか
    今朝方、ふとんの中で考えていた話。
    「ベンチャー企業は投資を受けた方がいいのかどうか」

  5. 根性ものへの郷愁とバブルかねえってか・・・段平のおっちゃん、そして不均等発展型バブル論と女性論(おいおい)

      テレビで、アスパラのCMが流れていた。   お疲れ気味のサラリーマン同士がい

  6. ベンチャー企業とカネについての話

    そうそうたる面々の中で、声を発するのはしり込みするところもあるのですが、実務者サイドの話があってもよいかなということで。。
    ベンチャー企業がベンチャーキャピタルの出資を受けたほうがよいかどうかについて。
    ひと昔ならぬふた昔前であれば、止めた方がよいと…

  7. いつも更新ご苦労様です。
    今回の趣旨はとは少し異なりますが、私もVBと外部株主(VC以外も含む)の関係をよく結婚に例えます。
    「結婚するのは簡単だが、離婚は大変」
    結婚=出資、離婚=Exit前の売却(または資本提携の解消)です。
    経営者の方も増資が具体化する前から、外部株主候補先の考え方・動きを理解する事(結婚前の交際期間ですね)はとても大事だと思います。
    日々忙しくされているので、かなり大変ですが(笑

  8. ベンチャー企業の資金繰り

    企業活動の本質は、本業によって資金を運用し収益をあげることにあります。 本業収入が活動支出を上回っていれば資金繰りに困ることはありません。この状況で外部資金調達をするのは、資金規模を拡大し事業のリバレッジ効率を高めるをかけることにあります。 一方、支出が…

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