イー・アクセスの信託型買収防衛策(税務編)

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(以下、さらっと考えてみただけで、後から調べ直して内容が変わる可能性がありますので、ご注意下さい。論点が多くて、昨日中にはまとまりませんでした。すみません。)
■要旨:
長々と書いてますが、一言でいうと、最後の段落の通り、事前予告型や信託型は税務上ややこしくて、米国型の(株式に随伴して流通する)ライツプランの登場が待たれますね、という点に尽きます。
■以下、本文(長いです)
前回に引き続き、イー・アクセスの信託型買収防衛策をケースとして取り上げ、これを税務的に見たらどうなるかについて考えさせていただきたいと思います。
nsm9950cpa さんからコメントいただいてますように、今年の4月下旬の自民党の法務部会(企業統治委員会)において、国税庁が新株予約権を用いたライツプランに対する課税方針を示しています。
(ちなみに、web上でこの文書が見つからないんですが、どなたか、URL等をご存じでしたらご教授いただければ幸いです。)
(追記、20:49:http://www.nta.go.jp/category/tutatu/sonota/houzin/4068/01.htm
に載ってます。kuronekoさんに教えていただきました。ありがとうございました。>kuronekoさん。)
この国税庁の見解については、旬刊経理情報の最新号(2005/6/1号)の特集「敵対的買収防衛策の税務とポイズンピル信託の活用」の、「各種防衛策の仕組みと税務問題−ポイズンピルを中心に」(ユナイテッド・パートナーズ会計事務所パートナー・税理士 松崎 為久氏)でも図解(追記、20:49:上述国税庁の資料に書いてあるのと同じ図です)入りでまとめてらっしゃいますので、ご興味のある方はご参照ください。(ちなみに、定期購読のみでバックナンバー1部だけの購入はダメみたいです。)
nsm9950cpaさんのコメントでも、この国税庁の見解について整理していただいてますので、(横着して)これを引用させていただきますと、

ライツプランの税務上の取扱いについては、4月28日開催の自民党の企業統治に関する委員会において、国税庁が基本的考え方を明らかにしています。
 この時の説明では、ライツプランを以下の3つに分類しています。
�事前警告型ライツプラン
 ライツプランの導入については事前警告のみ行い、敵対的買収者が現れた時点で新株予約権を付与する方法
�信託型ライツプラン(直接型)
�信託型ライツプラン(SPC型)
税務上の取扱いは、最後にまとめましたので、それを参照していただければと思いますが、結論としては、税務の観点から考えるとSPC型は、��より不利な扱いになります。

「不利」にも関わらずSPC型を採用した理由についてnsm9950cpaさんは、下記のように投資信託法上の扱いが不確定だったからではないかという見解を述べられています。

 それでは、イー・アクセスが何故SPC型にしたかの疑問が残りますが、それは投資信託法上の疑義があったことによると思います。
 4月28日の自民党の委員会では、投資信託法上、信託銀行に直接、新株予約権を発行できるかどうかが不明確との話がでており、金融庁の見解を示してもらうことを宿題にしていました。
 5月12日の自民党の委員会において、金融庁から回答が示され、投資信託法上、可能ということになりました。すなわち、投資信託法第5条の2に抵触しないということです。

 イー・アクセスのライツプランのプレスリリースは、5月12日ですので、金融庁の投資信託法上の見解が出る前に、スキームを作ったことから、SPC方式を選択したものと推定できます。

nsm9950cpaさんがまとめた「税務上の取扱い」は以下の通りです。

(税務上の取扱い)
 株主に対する課税関係は、�と�の場合については、法人株主については、新株予約権の付与時に時価相当額の受贈益が生じ、個人株主については、行使時に株式の時価と権利行使価額との差額に課税されるとしています。また、�については、法人株主、個人株主ともにSPCから株主へ新株予約権を譲渡した時点で、時価相当額の受贈益・経済的利益が生じるとして課税対象になります。

�のSPC型であれば、個人株主に対する課税が取得時点であり、�、�の行使時の課税よりも早く課税され、税務上不利な扱いになっています。

 この違いは、所得税法施行令84条3号の規定自体が商法280条の21第1項(新株予約権の有利発行決議)に基づき発行された新株予約権は、課税時期を権利行使時と定め、収入金額を「権利行使時の株価−(新株予約権の取得価額+行使払込額)」と定めていることに関係します。
(中略)SPC型は、SPCから株主へ譲渡することを前提にしていますので、付与時の課税にならざるを得ないと国税庁は考えたものと思います。

この国税庁さんの見解を図示すると、下記の通りとなると考えられます。
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今回のスキームの場合、新株予約権の取得と行使は、(年末年始をまたがない限り)、個人の場合には同じ課税期間になりますので、イー・アクセスさんとしては、実際に第3類型が第2類型に比べて「不利」になることは無いと判断されたのかも知れません。
問題となるこの所得税法施行令第84条の条文は、下記の通りですが、

所得税法施行令第八十四条(株式等を取得する権利の価額)
 発行法人から次の各号に掲げる権利を与えられた場合(法人税法第二条第十四号(定義)に規定する株主等として与えられた場合を除く。)における当該権利に係る法第三十六条第二項(収入金額)の価額は当該権利の行使により取得した株式(これに準ずるものを含む。)のその行使の日(第四号に掲げる権利にあつては、当該権利に基づく払込みに係る期日)における価額から次の各号に掲げる権利の区分に応じ当該各号に定める金額を控除した金額による。
(中略)
 三 商法第二百八十条ノ二十一第一項(新株予約権の有利発行の決議)の決議に基づき発行された同項に規定する新株予約権 当該新株予約権の行使に係る新株の発行価額(当該新株予約権の行使により当該発行法人の有する自己の株式の移転を受けた場合には、当該株式の譲渡価額)
 四 有利な発行価額により新株(これに準ずるものを含む。以下この号において同じ。)を取得する権利(前二号に掲げるものを除く。) 当該権利の行使に係る新株の発行価額

ここでいくつか(ちょっとマニアックな)疑問がわいてくるわけです。
「会社から与える権利」なのか「株式等の譲渡」なのか?
1つめの疑問。上記で国税庁さんが言う第三類型(SPC型)において、SPCから株主に対して行われる譲渡は、令84条でいう「発行法人から権利を与えられた場合」に該当せず、一般の有価証券(株式等)の譲渡に該当するわけですよね。

租税特別措置法第三十七条の十(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例)
3 前二項に規定する株式等とは、次に掲げるもの(外国法人に係るものを含むものとし、ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に類するものとして政令で定める株式又は出資者の持分を除く。)をいう。
一 株式(株式の引受けによる権利、新株の引受権及び新株予約権を含む。)
(以下略)

第1、第2類型だと「発行法人から(直接)権利を与えられた場合」に該当すると思いますが(だからこそ84条が適用されて課税が繰り延べられているわけですが)、第3類型のSPCは(実態はともかく形式上は)イーアクセスとは資本・人的関係がない有限責任中間法人で「全くの第三者」であり、その法人からの譲渡は、「発行法人から(直接)権利を与えられた場合」ではなく、単なる「株式等」の譲渡に該当するかと思います。
(スキーム図再掲)
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今回の場合、株主は新株予約権を無償で受け取るので、どっちにしろ、受け取った個人株主に、「譲渡を受けたときの新株予約権の時価」分の所得が発生しちゃうのは(時価>0円なら)しかたのないところです。問題は「何所得」になるのか。
(会社から直接付与される)第1、第2類型の場合には、前述の松崎氏の論文では「行使時に雑所得(総合課税)」となると書いてあります。
第3類型の場合が何所得に該当するのか書かれていないのではないかと思いますが、一般には、法人から個人への低額譲渡では、個人側がその法人の従業員等であれば「給与所得」、従業員でない場合には「一時所得」として所得税が課税されることになっていると考えられます。

所得税基本通達36-36〔給与等とされる経済的利益の評価〕
(有価証券の評価)
使用者が役員又は使用人に対して支給する有価証券(令第84条各号に掲げる権利で同条の規定の適用を受けるもの及び法人税法第2条第14号に規定する株主等として発行法人から与えられた新株等を取得する権利を除く。)については、その支給時の価額により評価する。この場合における支給時の価額については、23〜35共-9及び昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第2節《公社債》の取扱いに準じて評価する。
(一時所得の例示)
所得税基本通達34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(中略)
(5) 法人からの贈与により取得する金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)

企業の個人株主の中には、創業者などの「大口株主」もいれば、役員も従業員も取引先の個人事業者もいます。今回の新株予約権の付与の場合、目的としては「従業員」ではなく「株主」に付与したいわけですが、株主割当ではなく「買収者」にも付与されないので、話がややこしくなります。
この新株予約権の譲渡が、イー・アクセスからの譲渡ではなく、実態としてもSPCからの譲渡であり全個人株主が「一時所得」扱いとみなしてもらえればしめたもんです。
「一時所得」とみなされ、
{新株予約権の時価−特別控除額(50万円)}×1/2
だけが課税されるのと、「給与所得」や「雑所得」として(1/2されずに)総合課税されちゃうのでは、雲泥の差です。
SPCという「全くの第三者」から譲渡を受けた新株予約権は、通常の有価証券の取得と同様として取り扱われるのであれば、無償でこれをもらった株主はどの株主も一律、新株予約権の「時価」分が一時所得として課税されることになり、後は、株式を譲渡するまで課税されないはずです。
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つまり、第2類型じゃなくて第3類型とすることで、税務上、役員や従業員の株主等に対する課税が給与所得とみなされない可能性が高まり、実効税率も半分になるのであれば、第3類型を選択した方が、税務上「有利」になるとも言えるかも知れません。
ちなみに、税制適格ストックオプションの場合の新株予約権の課税関係は以下の通り。

(特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等)
第二十九条の二
 商法(略)第二百八十条ノ二十一第一項に規定する新株予約権(略)を与えられる者とされた当該決議(以下この条において「付与決議」という。)のあつた株式会社又は当該株式会社がその発行済株式(議決権のあるものに限る。)若しくは出資の総数の百分の五十を超える数の株式(議決権のあるものに限る。)若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係その他の政令で定める関係にある法人の取締役又は使用人である個人(当該付与決議のあつた日において当該株式会社の政令で定める数の株式を有していた個人(以下この項及び次項において「大口株主」という。)及び同日において当該株式会社の大口株主に該当する者の配偶者その他の当該大口株主に該当する者と政令で定める特別の関係があつた個人(次項において「大口株主の特別関係者」という。)を除く。以下この項、次項及び第五項において「取締役等」という。)又は当該取締役等の相続人(政令で定めるものに限る。以下この項、次項及び第五項において「権利承継相続人」という。)が、当該付与決議に基づき当該株式会社と当該取締役等との間に締結された契約により与えられた当該新株予約権若しくは新株引受権又は株式譲渡請求権(当該新株予約権若しくは新株引受権又は株式譲渡請求権に係る契約において、次に掲げる要件が定められているものに限る。以下この項、次項及び第五項において「特定新株予約権等」という。)を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には、当該株式の取得に係る経済的利益については、所得税を課さない。ただし、(以下税制適格の要件、省略)

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じゃあ、こうした第1類型や第2類型の買収防衛策で従業員等である株主が新株予約権を取得したときに税務署が「それは給与所得だ」と言うかどうかですが、実際にはその可能性は限りなく低いとは思います。
一方、このSPC型の付与スキームであれば、「発行法人」からでなく「第三者」からの有価証券の譲渡とみなされるのであれば、本件から離れて、会社が役職員向けに税制適格でないストックオプション(年間1200万円以上行使できるとか、付与後2年以内に行使できるとか)を発行する場合に、株式譲渡時に分離課税で済むというのにも使えてしまうという可能性についてはどうでしょうか?
昔は、「成功報酬型ワラント」のように、分離型の新株引受権付社債を第三者に発行しておいて、社債部分を早期償還し、新株引受権だけを第三者を経由して従業員等に付与するというスキームがよく使われていましたが、新株予約権を使った税制適格ストックオプションが発行できるようになってからは(面倒なので)あまり見かけません。これと同様のことをSPCを使って今やったらどうなるんでしょうね?
実務上の事務手続き
(基本的には交付されない可能性が高いはずですが)、実際にこの新株予約権が交付されることになったら、確定申告の仕方など税務上の取扱いも含めた(ややこしい)説明資料を全株主に送付しなきゃいけないのは間違いなさそうです。
(ちゃんと理解して確定申告書が書ける株主は、ほとんどいないことが予想されます。→大混乱必至?)
そもそも新株予約権の「時価」とは何か
新株予約権を無償で譲り受けたり行使した場合、(何所得になるかはともかく)その「時価」分が所得になるのはわかります。では、この新株予約権の「時価」とはそもそも何でしょうか?今回の場合、ホントに「時価」に課税されるんでしょうか?
論点1:time valueを含むのかどうか
前述の旬刊経理情報の記事で松崎氏は、所得税法上、法人税法上、新株予約権についての明確な時価算定の基準がなく、唯一、財産評価基本通達193-2、

(ストックオプションの評価)
193-2 その目的たる株式が上場株式又は気配相場等のある株式であり、かつ、課税時期が権利行使可能期間内にあるストックオプションの価額は、課税時期におけるその株式の価額から権利行使価額を控除した金額に、ストックオプション1個の行使により取得することができる株式数を乗じて計算した金額(その金額が負数のときは、0とする。)によって評価する。この場合の「課税時期におけるその株式の価額」は、169《上場株式の評価》から172《上場株式についての最終価格の月平均額の特例》まで又は174《気配相場等のある株式の評価》から177−2《登録銘柄及び店頭管理銘柄の取引価格の月平均額の特例》までの定めによって評価する。

で、「ストックオプションの評価は本源的価値(intrinsic value)部分だけでいい」とされているのが参考になるのみで、所得税や法人税で一般的に、「時間的価値(time value)」部分が評価に含まれるのかどうかが不明確であることを問題にされております。
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ただし、オプションの条件を適当に調整することによって、実務上はtime valueの部分を著しく小さくすることができるので、それで解決する部分があるということもおっしゃってます。
実際に大規模なスキームの実務では、この部分についての評価を第三者から取得するんでしょうね。
(例えば、イー・アクセスのスキームでSPCに対して新株予約権を付与する時の発行価額を1円/1個としていますが、これも特殊な場合しか行使できないことを勘案すると、その程度の評価額にしかならない、てな意見書等を取得しているのかも知れません。)
論点2:dilution分はどないすんねん?(一部追記、変更、20:00)
もう一つ、松崎氏の記事では、「ポイズンピルとして利用される新株予約権は行使価格が1円というようなディープ・イン・ザ・マネー(超有利発行)となるため、どの場合でも有事の際に最低限本源的価値相当額の課税が法人株主および個人株主に課税されることになる。」とされてます。
ただ、ポイズンピルのように非常に大きな希薄化(dilution)が発生するような新株予約権の発行の場合に、単純に原資産の価格が正規分布する確率で変動するブラック・ショールズ的なモデルでプライシングしていいのか、それとも新株予約権による希薄化分を時価に反映させて考えるかどうかは論点になるんじゃないでしょうか。
(そう、この新株予約権は行使しないと希薄化しちゃうので、半強制的に行使「させられる」わけです。)
(例えば単純化した例として)、株価が10万円のときにほぼ全株主に1株に対して1個づつ、1円で1株が取得できる新株予約権が付与されたとしたら(理論的には全員が行使するに決まっているので)、実態としては2倍の株式分割をするのとほぼ同じわけですから、直前の株価だけを見てストックオプションの価値が少なくとも99,999円ある、てなことを言われても困るわけです。
実質は、このストックオプションの価値は、「ゼロ」ですよね。というか逆に、払い込まないと自分の資産が2分の1の価値になっちゃうわけですから、新株予約「権」というよりは、新株購入「義務」みたいなもんで、株主にとっては迷惑な話とも言えます。
今回のイー・アクセスさんの場合でも、払込金額はそれまでの時価の2割、新株予約権は買収者以外に一人当たり1個で、1個あたり1.5株が買えて、買収者は2割以上株を取得した人ですから、払い込まずに放っておけば、
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と、約6割に希薄化してしまうわけです。
また、希薄化により、買収者からその他株主に価値が移転するわけですが、それについての(国税庁さん等の)見解はどうなんでしょうか。
米国型のライツプランをキボンヌ
説明が長くなりましたが、これらの税務上の話はすべて、株主割当で新株予約権を割り当てないためにややこしくなってるわけです。「第1〜3類型」の中には入ってませんが、米国型のライツプランやニレコ型や、インボイスさんの先日の全株主へのストックオプションの付与のように、株主割当で新株予約権を付与すれば、少なくとも税務上の問題はより発生しにくいと考えられるわけです。
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平時に全株主にライツを付与し、(ニレコ型と違って)株式の譲渡とともに「随伴して」ライツも転々と譲渡されていくような米国型ライツプランと同様のスキームが、(現行法内でスキームが組めるのかどうかはおいといて)早くできるようになって欲しいところです。
新会社法で、会社側から強制的に行使させられるようになったりできれば、株主側としては面倒もないので、なおいいですね。
(本日は、これにて。)

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イー・アクセスの信託型買収防衛策(税務編)” への7件のコメント

  1. コメントを引用いただきありがとうございます。
    >今年の4月下旬の自民党の法務部会(企業統治委員会)において、国税庁が新株予約権を用い>たライツプランに対する課税方針を示しています。
    >(ちなみに、web上でこの文書が見つからないんですが、どなたか、URL等をご存じでしたら
    >ご教授いただければ幸いです。)
     国税庁がライツプランの税務上の取扱いを明らかにしたというのは、自民党に質問され、急遽現行税制で解釈するとどうなるかの説明を行ったに過ぎない、そういった性格ではないかと思います。
     したがって、新しい解釈を述べたようなものではないので、web上では公表されておらず、記者に配布した資料が世間に出回っているに過ぎないと思います。
     ちなみに私は、ロータス21という会社が運営している会員制のデータベース(税務中心ですが、商法・会計等にからむトピックスの情報も提供しています。)を利用しており、自民党の委員会で配布した資料も、このデータベースで見ています。会費は月額10,500円です。
     
    >(「商法280条の21第1項の新株予約権は、譲渡禁止の新株予約権であり」というところ
    >がよくわからないんですが、)
    商法280条の21第1項の規定は、
    「株主以外ノ者ニ対シ特ニ有利ナル条件ヲ以テ新株予約権ヲ発行スルニハ定款ニ之ニ関スル定アルトキト雖モ其ノ新株予約権ニ付テノ前条第二項第一号、第二号及第四号乃至第八号ニ掲グル事項並ニ各新株予約権ノ最低発行価額(無償ニテ発行スル場合ニハ其ノ旨)ニ付第三百四十三条ニ定ムル決議アルコトヲ要ス」
    とあり、商法280条の20第2項第8号の事項を決議することを求めています。
    商法280条の20第2項第8号の規定は、
    「八  新株予約権ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スルモノトスルトキハ其ノ旨 」
    であり、譲渡制限の条件をつけることを求めています。したがって、譲渡禁止というよりも譲渡制限といった方が正しいですね。
    新株予約権の時価についてですが、
    >論点1:time valueを含むのかどうか
    同期の公認会計士からの又聞きですが、税務当局としては、所得税法、法人税法上、time valueを含めた時価評価を前提にした税務調査は事実上困難であり、本源的価値部分だけの評価で考えるといったオフレコの発言をある方から聞いたとの事です。
    表に出た話ではないので、これを手懸りにして税務上の扱いを考える訳にはいきませんが、恐らく本源的価値のみ考えることが、現状の当局の考えではないかなと私は思っています。
    >論点2:dilution分はどないすんねん?
    ストックオプションと異なり、ライツプランは、実務に登場したばかりですので、当局としても、dilutionの問題は、これから考えることになるのではないでしょうか?。

  2. コメント、どうもありがとうございます。
    「商法280条の21第1項の規定」ですが、譲渡制限については「(仮に)要スルモノトスルトキハ 」決議が必要としているもので、必ず譲渡制限をつけなさいということではないと思います。
    >ストックオプションと異なり、ライツプランは、実務に登場したばかりですので、当局としても、dilutionの問題は、これから考えることになるのではないでしょうか?。
    そうですよね。一般にも、原資産が正規分布する確率に従って価値が変動するとしか想定しておらず、希薄化まで考慮したオプションのプライシングモデルを使って新株予約権の評価をしているケースはほとんどないんじゃないかと思います。
    それをやると、大量に発行するMSCBなんかも「有利発行だ」ということになっちゃうケースも多いんじゃないかと思いますが、、、
    ではまた。

  3. >ちなみに、web上でこの文書が見つからないんですが、どなたか、URL等をご存じでしたら
    新株予約権を用いた敵対的買収防衛策に関する原則的な課税関係について(法人税・所得税関係)(平成17年4月28日)
    が国税庁HPにUPされています。おそらく昨日か今日UPされたのでしょう。
    すでにご存知でしたら、すみません。

  4. >「商法280条の21第1項の規定」ですが、譲渡制限については「(仮に)要スルモノトスルトキハ 」決議が必要としているもので、必ず譲渡制限をつけなさいということではないと思います。
    ご指摘ありがとございます。
     所得税法施行令84条の規定ができた趣旨が、ストックオプションとしての新株予約権の付与は実務上譲渡禁止としていることから設けられたものと考えているうちに、理解が混乱していました。

  5. 磯崎さん、お疲れ様です。
    今回のルーリングの派生的影響や、元株のdilutionまで検討されている、この解説がWEB上で無料で読めるというのは、かなり凄いことのような気がします。
    ところで、米国の方のライツの関連で一つ補足しますと、米国でもライツの付与時課税がないというのはルーリングで明確になっているのですが、他方で、ひとたびトリガーされて、ライツと株式が分離した段階の税務の取り扱いについては、全くのブラックボックス。。。というか、おそらくその時点で何らかの形で課税が生じるだろうというのが一般的な認識のようです。こっちの弁護士と話をしていると、「実際にライツ・プランは発動することがないから、そのときはそのとき」と、結構アバウトだったりします。

  6. >ライツと株式が分離した段階の税務の取り扱いについては、全くのブラックボックス。。。
    なるほど。
    どこの世界でも、実際にほとんど発生しないようなことについてルールが明確になるということはないということなんでしょうかね。
    >こっちの弁護士と話をしていると、「実際にライツ・プランは発動することがないから、そのときはそのとき」と、結構アバウトだったりします。
    そういうアバウトな弁護士さん、好きです。(笑)
    どうもありがとうございます。ではまた。