ファイナンス領域の「ビッグブラザー」は現れるか?

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梅田望夫さんの「GoogleのKeyhole買収に見るシリコンバレーの栄枯盛衰」で、Googleが買収したKeyhole社が取り上げられてました。
Keyhole社は、人工衛星や航空機から撮影した地球全体の画像等のデータベースをもとにしたサービスを展開している会社。
中でも「むむっ」と思ったのが、記事中で引用されている、元日本SGI社長の関本晃靖氏のKeyhole社についての解説です。

彼らが開発したアースビューワは、全地球規模の衛星画像、航空写真、地図、標高といった6テラバイトにも及ぶ空間情報(Geospaital Information)とpoints of interest (POI) データ(ユーザカスタマイズで設定したレイヤー情報)を融合させて、ユーザクライアント側に高速ストリーミング配信する。
http://www.siliconstudio.co.jp/products/keyhole/about.html

「6テラ!」と一昔前なら仰天するところですが、今回、この文章を読んで逆の意味で仰天しました。なんと自動車や人間まで見えそうな地球全体の画像や意味データが、VAIO「type X」たった6台分に収まってしまうわけです。
つまり、ということは、数年後にはパソコン1台分に収まってしまう量ということ。
知識と知恵の乖離
かように、単なる「知識」を保有するためのコストは、どんどん下がってます。Google等のおかげで、地球の裏側の「知識」まで見通せるようになったのは、「知恵の晴れ上がり」で書かせていただいたとおりですが、その知識を活用するための「知恵」はなかなかそうはいかないんですよね。
将棋の盤面を記述する情報量は数百バイト程度でいいのではないかと思いますが、だから全員が羽生名人になれるどころか、シロウトと名人の差は圧倒的になる。
先日、新聞社の方々と企業のディスクロージャーについてディスカッションしていたのですが、最近ではすでにほとんどの公開企業がネットで財務や事業の内容を適時開示するようになっていますので「生情報」は誰でも見られるようになってますが、では、「その情報が何を意味するか」というアナライズをすべてのネット投資家等が行えているかというと、そうではなさそう。逆に、「考える人」と「考えない人」との差は、ますます大きくなって行くようにも思えます。
最近、よく取り上げさせていただいているMSCBやインボイスさんのファイナンス・スキームなどについても、知らないのは私だけかと思って自習のつもりでblogにまとめていたのですが、新聞社や雑誌社、資金運用をされている方など、かなり経済や株式がわかってそうな方々から非常に多く質問をいただきましたので、「あ、結局、情報開示されてても、それを分析してる人ってほどんどいないんだ」というのがよくわかりました。
(昨日取り上げたイノテックの事例も、結構おもしろいんじゃないかと思うんですが、全く新聞記事等になってないですし。・・・・公開会社なのに・・・。)
ファイナンス領域の「ビッグブラザー」
以前のエントリー「Googleのビッグブラザー性」では、Googleのような検索エンジンが、どんどん新しい機能を取り込んでいって便利になり、限りなく「ビッグブラザー」に近づいて行っているのではないか、ということを書かせてもらいましたが、
そういう傾向は、「カネ」の世界でももしかしたらすでに起こりつつあるんじゃないでしょうか。
すなわち、株式や為替のみならず、商品、不動産、天候、CO2排出権等までがどんどん証券化され、一見「オープンで平等」な世界で情報開示されて売り買いされるようになりつつあるわけですが、
実は、ごく一部の人が、世界的な計量モデル等を駆使して資金を動かし、確実に儲けるようになったりして。
計量経済モデルなんてのは神社のおみくじくらいの御利益しか無いのではないかと思ってましたが、最近では地球シミュレーターなどのスパコンで台風の進路までかなり正確に予測できるようになってきているとのこと。(よく存じませんが。)
何かイベントが起こったときの市場の反応というのも結構単純なことが多いですし、Google並の予算で経済学者やアナリストにプログラムを書かせて、確実かつ大量に儲かる「ビッグブラザー」が育っていくという可能性は無いでしょうか?
為替とか株式指数等のマクロなものはイケそうな気もします。
また、回転売買をするネット投資家は平均しても日経平均以上のパフォーマンスを出していらっしゃったりするので、逆に、板の状況等をながめつつ超ミクロに多数の銘柄にマーケットインパクト無く投資する自動プログラムで自動的に儲けるやつが現れる、なんてのも面白そうです。
・・・アイデア倒れで、想定していなかったリスク要因が出てきて、LTCMの二の舞になるオチかも知れません。
(本日の妄想、以上。)

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