UFJ vs 住友信託の訴訟の行方

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10月17日に日経新聞が、「三菱東京・UFJ統合交渉、住友信託が差し止め提訴へ」という記事を報じました。
UFJグループがUFJ信託銀行の住友信託銀行への売却を白紙撤回したのを受けて、住友信託は三菱東京とUFJの統合交渉の一部差し止めを求める仮処分を申し立て、最高裁は「独占交渉権に法的拘束力はあるが、仮処分を認めなければ住友信託に著しい損害が生じるとは言えない」として仮処分は行わなかったわけですが、一方で最高裁は、「住友信託の損害は事後の賠償によって償える」としているので、「じゃ、その事後の賠償とやらをしてもらいましょうか」ということになるのは当然予想された結果ではあります。
また、やらないと住友信託さんが株主から訴訟を受けかねない。
一方、以前ご紹介した旬刊商事法務9月15日号の手塚裕之・弁護士・ニューヨーク州弁護士が書かれた論文では、米国デラウエア州最高裁の考え方なども紹介した上で、今回の仮処分の検討については、地裁から最高裁まで、基本的に契約法的検討しか行っておらず、「コーポレートガバナンス」の観点が全く欠如しており、そもそもUFJと住友信託の2年もの長期の独占交渉権自体が無効、としています。
別の日経新聞の報道では、UFJグループに東京三菱の優先株出資等の条件のアドバイスをしたのは岩倉正和弁護士という方とのこと。(東京都との銀行への外形標準課税に関する訴訟で、銀行側に立って勝訴を勝ち取った方ですね。)
上述の論文を書いた手塚弁護士は同じ西村ときわ法律事務所の方ですから、ちょっと(UFJ寄りの意見じゃないかと)割り引いて考える必要もあるのかも知れませんが、デラウエア州最高裁のコーポレートガバナンスの観点に立った論理的な判決も参考にすると、やはり、商法で「親(株主)が認めなければ結婚(合併等)できない」と決まっているわけですから、「親の了承を得ずに、子供(取締役)同士で、事実上結婚せざるを得ないような約束をしても無効」というほうが筋が通っているような気もします。
また、損害の額をいくらとするのか、というのも興味深いところ。
確かに「交渉」だけでも、人件費や弁護士費用等で十億円とか三十億円のコストがかかっていてもおかしくないですが、さすがに報道されたような数百億円となると、まだ発生していない損害や間接的な損害を含んでいる金額としか思えませんので、そこまでは認められないんじゃないかしらん?
裁判になれば、UFJグループと住友信託との間で、どういった約束が交わされていたのか、等のより詳細な情報もわかるでしょうし、この「戦い」の行方、引き続き要チェキラかと。
(ではまた。)

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