証取法改正でファンドビジネスの危機は来るか?(速報)

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以前、証取法改正で「シリコンバレー的ファンド」等の運営に影響が出るか?に書かせていただいた、証券取引法改正に伴う政令の変更案が、いよいよ出ました。
証券取引法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)等の公表について
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/syouken/f-20041001-3.html
この改正によって、ベンチャーファンドや企業再生再生ファンド、不動産ファンド、コンテンツファンド等の運営には影響が出るのでしょうか?
私の意見はさておき、とりあえず証取法改正の内容をおさらいし、新政令案の概要を見てみたいと思います。
証取法改正の内容
改正後の証券取引法第二条�3号および4号においては、投資事業有限責任組合、民法組合、匿名組合、またはこれに類似する外国法によるファンドについては、今年の12月1日より証券取引法の規制を受けることになります。

証券取引法第二条第二項
三 投資事業有限責任組合契約(投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約をいい、商品投資に係る事業の規制に関する法律(平成三年法律第六十六号)第二条第二項第二号の契約のうち政令で定めるものに該当するものを除く。以下この号及び次号において同じ。)に基づく権利又は組合契約(民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約をいう。)若しくは匿名組合契約(商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約をいう。)であつて投資事業有限責任組合契約に類するものとして政令で定めるものに基づく権利
四 外国の法令に基づく契約であつて、投資事業有限責任組合契約に類するものに基づく権利

つまり、投資事業有限責任組合だと、確実にその「契約に基づく権利」は証券取引法上の権利になっちゃうわけですが、民法上の任意組合、商法の匿名組合等でも、以下の政令の要件を満たすものであれば、証券取引法の規制を受けますよ、というのが改正証券取引法施行令の案となります。
証券取引法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(案)http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/syouken/f-20041001-3/02.pdf

(法第二条第二項第三号に規定する契約のうちから除くものとして政令で定めるもの等)
証券取引法施行令第一条の三の二
2 法第二条第二項第三号に規定する投資事業有限責任組合契約に類するものとして政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約(商品投資に係る事業の規制に関する法律第二条第二項第二号の契約その他内閣府令で定めるものに該当するものを除く。)のうち、次に掲げる要件のすべてに該当するもの
イ金銭その他の財産のみをもつて出資の目的とするものであること。
ロ一人又は数人の組合員に組合の業務の執行を委任するものであること。
投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項各号(第十二号を除く。)に掲げる事業の全部又は一部を営むことを約するものであること。
二商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約(商品投資に係る事業の規制に関する法律第二条第二項第一号の契約に該当するものを除く。)のうち、前号ハに掲げる要件に該当するもの

ここで参照されている「投資事業有限責任組合契約に関する法律」の該当箇所は、以下の通り。

投資事業有限責任組合契約に関する法律第三条第一項
一  株式会社の設立に際して発行する株式の取得及び保有並びに有限会社又は企業組合の設立に際しての持分の取得及び当該取得に係る持分の保有
二  株式会社の発行する株式、新株予約権(商法 (明治三十二年法律第四十八号)第二百八十条ノ十九第一項 に規定する新株予約権をいう。以下この項において同じ。)若しくは新株予約権付社債等(同法第三百四十一条ノ二第一項 に規定する新株予約権付社債及びこれに準ずる社債として政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)又は有限会社若しくは企業組合の持分の取得及び保有
三  証券取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項 に規定する有価証券(株式、新株予約権及び新株予約権付社債等を除き、同項第一号 から第五号の三 まで及び第七号 から第十号 までに掲げる有価証券(新株予約権付社債等を除く。)に表示されるべき権利であって同条第二項 の規定により有価証券とみなされるものを含む。)のうち社債(新株予約権付社債等を除く。)その他の事業者の資金調達に資するものとして政令で定めるもの(以下「指定有価証券」という。)の取得及び保有(前二号の規定により投資事業有限責任組合(第九号を除き、以下「組合」という。)がその株式、新株予約権若しくは新株予約権付社債等を保有している株式会社又は組合がその持分を保有している有限会社若しくは企業組合(以下「特定会社等」と総称する。)以外の事業者の発行する指定有価証券(以下この号において「特定指定有価証券」という。)にあっては、特定指定有価証券である当該指定有価証券を組合が保有する期間が政令で定める期間を超えたときは、その日において、無限責任組合員のいずれかがこれを買い取る旨を約した場合における当該特定指定有価証券の取得及び保有に限る。)
四  事業者に対する金銭債権の取得及び保有(特定会社等以外の事業者に対する金銭債権(以下この号において「特定金銭債権」という。)にあっては、特定金銭債権である当該金銭債権を組合が保有する期間が政令で定める期間を超えたときは、その日において、無限責任組合員のいずれかがこれを買い取る旨を約した場合における当該特定金銭債権の取得及び保有に限る。)
五  事業者に対する金銭の新たな貸付け
六  事業者の所有する工業所有権又は著作権の取得及び保有(これらの権利に関して利用を許諾することを含む。)
七  特定中小企業等(中小企業者(中小企業基本法 (昭和三十八年法律第百五十四号)第二条第一項 各号に掲げるものをいう。)その他の者であって、これに対する資金供給を行うことが特に重要なものとして政令で定める者をいう。以下同じ。)であって投資営業者(投資事業を営む者をいう。第九号において同じ。)でないものを相手方とする匿名組合契約(商法第五百三十五条 の匿名組合契約をいう。以下同じ。)の出資の持分又は信託の受益権(特定中小企業等の営む事業から生ずる収益又は利益の分配を受ける権利に限る。)の取得及び保有
八  前各号の規定により組合がその株式、持分、新株予約権、新株予約権付社債等、指定有価証券、金銭債権、工業所有権、著作権又は信託の受益権を保有している事業者に対して経営又は技術の指導を行う事業
九  投資組合等(投資事業有限責任組合若しくは民法 (明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項 に規定する組合契約で投資事業を営むことを約するものによって成立する組合又は外国に所在するこれらの組合に類似する団体をいう。以下同じ。)に対する出資及び投資営業者を相手方とする匿名組合契約に基づく出資(以下この号において「投資組合向け出資等」と総称する。)であって、一の投資組合等又は投資営業者に対する投資組合向け出資等の価額の投資事業有限責任組合の総組合員の出資の総額(組合契約において各組合員の出資予定額(各組合員が出資することを約した上限額をいう。以下この号において同じ。)が定められている場合にあっては、総組合員の出資予定額の合計額)に対する割合が政令で定める割合を超えない範囲内において行うもの(次に掲げる投資組合向け出資等(第十一号ロにおいて「特定投資組合向け出資等」という。)を除く。)
イ 投資事業有限責任組合の無限責任組合員である者(無限責任組合員が数人あるときは、そのいずれか一人の無限責任組合員である者。ロにおいて同じ。)がその業務を執行する者である投資組合等その他投資事業有限責任組合の業務の執行を実質的に支配する関係を有するものとして政令で定める投資組合等に対する出資
ロ 投資事業有限責任組合の無限責任組合員である者その他政令で定める者を相手方とする匿名組合契約に基づく出資
十  前各号の事業に付随する事業であって、政令で定めるもの
十一  次に掲げる事業であって、政令で定めるところにより、前各号に掲げる事業の遂行を妨げない限度において行うもの
イ 外国法人の発行する株式、新株予約権、新株予約権付社債等若しくは指定有価証券若しくは外国法人の持分又はこれらに類似するものの取得及び保有
ロ 特定投資組合向け出資等

つまり「ファンド」と名の付く民法組合、匿名組合を網羅的に規制してしまおうというものというよりは、特に、証券投資を行うベンチャーファンドや企業再生ファンド等を規制の対象にしようというもののようです。
匿名組合であっても不動産投資ファンドについては、不動産特定共同事業法等、別の法律はありますが、直接、上記の証券取引法の規制の対象にはならない、ということのようですね。
また、コンテンツファンドなども直接には上記の規定に引っかからないようにも見えます。
しかし、コンテンツファンド、不動産投資とも、スキームの組み方によっては引っかかる可能性も出てきますので、要注意かと思います。
また、株式投資等を行う民法組合であっても、規制の対象が満たすべき要件の一つに「イ金銭その他の財産のみをもつて出資の目的とするものであること」というのがあります。
民法の「組合」の規定では、

第六六七条第二項
出資ハ労務ヲ以テ其目的ト為スコトヲ得

とありますので、一部、(例えば、業務執行組合員の一部が)労務を(例えば組合の総資産の0.1%とかでも?)出資すれば、形式上、証券取引法の規制を受けない形となるということのようです。
小さめのファンドで気心の知れた出資者だけで作るようなファンドは、この「労務を出資する」という方法で、比較的簡単に証券取引法の規制からはずれることができるかも知れません。(そういう極めて少額の労務の出資は「潜脱行為である」、ということになるかも知れませんので、ご注意を。スキーム構築の際には、専門家にご相談ください。)
(取り急ぎ。)

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証取法改正でファンドビジネスの危機は来るか?(速報)” への3件のコメント

  1. 今回の政令案を見る限り、やはりPEやVC等の投資事業有限責任組合契約に基づくファンドも、認可投資顧問業とみなされることが確実な様に見受けられますが、ここでよく分かりにくいのが、ファンド(組合)自体が業者となるのか、GP会社が業者となるかです。
    何故かと申しますと、今般案の中にある「有価証券に係る投資顧問業の規制に関する法律施行規則」改正案の27条の利害関係人ところで、「ヘ 投資事業有限責任組合の業務執行組合員」となっており、であれば、業者は組合自体なのか?と読めてしまうことです。ただ、ファンド自体を業者にすることは、法24条2の「株式会社であること」に反していますし、実務的にファンドを立ち上げる度に認可をとるのも大変かなとも思えますし・・・。
    GPが業者となるのであれば、一部の著名なファンドGPでも、資本金が足りないところも見受けられるので、増資されるのですかね?それよりも、認可投資顧問業者が一気に増加しますね。
    小生のいるベンチャー企業でもファンド立ち上げの計画があるのですが、そろそろ弁護士さんに相談しなければと悩んでおります。

  2. 先程のコメントをした後に、手元の資料を見直してみたところ、経産省の解釈では、有責組合法に基づいたファンドであれば、投資一任契約に係る業務にあたらない、となっていました。(http://www.meti.go.jp/policy/sangyou_kinyuu/toiawase.htm)
    内容的には以前掲載されていた、旬刊商事法務の記事にあるFSA見解と同じ感じですが、日証協で6月14日に行われた同省説明会における内容(http://www.jsda.or.jp/html/gyouhou/0407/0105.pdf)
    を併せて読むと、契約書に投資方針を定め、投資委員会にて一定の監督を行い、運用結果の報告を行う(有責組合法通りの運用と思いますが)であれば、やはり対象外であるとも解釈できます。
    このあたり、FSAでは見解が異なったりするのでしょうかね?
    パブリックコメント終了後が気になります・・・

  3. まだまだ、理解が深まっていない点が多い私ですが、「どうもそのようだ」程度の情報を書かせていただきます。
    投資事業有限責任組合に関しては、GPが投資運用業の登録をするようです。
    通常のVCさんでは、投資事業有限責任組合のファンド運用において、63条の適格機関投資家等特例業務を使って届出とする場合が多いと考えられます。(適格機関投資家のハードルが下がりましたので、GP自身が適格機関投資家になっておけばよいですね。)
    その際も、一度VCさんとして届出を行えば、新たに63条特例のファンドを組成しても特に届出は必要ないようです。
    電話でのヒアリング内容ですので、何らかの確認が必要なのだと思っているところです。不確かな情報ですみません。