会計参与制度と訴訟対応、ブランディング

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昨日のエントリーの追記、です。
会計参与制度は、万が一、訴訟されたときの対応という点でも結構、リスクがあるんじゃないでしょうか、というお話。
そもそも企業のリスクが高そう
中小企業が、わざわざコストを払って会計参与制度を導入しようというからには、当然、銀行融資などを引き出しやすくしたい、などの「目的」があるはずです。どう見ても優良な会社は、ほっといても銀行が金を出したがるでしょうから、会計参与のお墨付きをもらいたがる企業というのは、一定以上のリスクがある会社が多いということになるんじゃないでしょうか。
元データの信頼性が弱そう
また、会計参与制度を利用しようというのは未公開の中小企業でしょうから、内部統制制度もちゃんとしていないことが多いでしょう。最終的な財務諸表の「表示」だけをちゃんとするという責任しか無いのならまだしも、財務諸表を作るための元データがそもそも怪しい可能性も大です。
「人のせい」にできない
さらに、監査であれば、財務諸表の作成に関する責任は経営者にあり、監査意見に関する責任は監査人にあるという「二重責任の原則」があります。
また、最終的に経営者から「経営者確認書」をもらって、「財務諸表の作成責任が経営者にあること」「内部統制を構築・維持する責任が経営者にあること」「監査の実施に必要なすべての資料が監査人に提供されたこと」等を経営者に確認して、「あんたが、一次的責任を負うんだからね」というのを納得してもらった上で、監査というのはあくまで「サンプリング」だから、専門家としての注意義務を払って一生懸命監査したけどわからないものがあっても、それはしかたないでしょう、というロジックが一応確立しています。
これに対して、会計参与はまさに「財務諸表を作る本人」だから、経営者に確認書をもらうというのもヘンですし、社長に確認書をもらおうとしたとしても、中小企業の場合、「財務諸表の作成責任が経営者にある、つっても、その財務諸表の作り方がわかんねーからあんたに頼んでんだろ?」と言われそうです。
対訴訟ノウハウが未蓄積
(幸か不幸か)監査は世界的にそうした訴訟に関するノウハウや、訴訟が発生したときのため(というだけではないですが)のエビデンスの保存などのノウハウが確立されてます。
会計参与は「世界に類を見ない」制度だし、判例もまだ無いので、訴訟されたときに、どこまでのことをやっていれば「セーフ」なのかという線引きが非常に難しい。
フツーの中小企業の会計担当の取締役であれば、裁判で「簿記とかよくわからなくて・・・」ということで、払うべき注意義務のハードルは低そうですが、税理士等がやるからには「よくわかりませんでした」とはいいづらそう。
企業が倒産したときにも、管財人は金のありそうなところを狙ってきます。社長や従業員などはスッテンテンのことが多いでしょうから、税理士さん等はターゲットにされやすそうですね。
ブランディング
公認会計士とか税理士であれば、それぞれ業界団体があり、その「ブランド」を維持・発展させるために、教育制度やら懲戒制度やらいろいろやっているわけです。手弁当の人件費も入れれば、年間十億円単位がブランド維持のコストにかかってるかも。
しかし、会計参与制度はどちらの業界団体にとっても「本丸」ではないので、「会計参与」というブランドを積極的に守ろうとする力はあまり働かないかも知れません。
一旦、「会計参与制度を利用するのは怪しげな会社」というような「ブランドイメージ」が付いちゃった日には、負のスパイラルに入っちゃいますので、それを挽回するのはすごく大変かも知れません。
(ではまた)

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