委員会等設置会社に移行して正解だったか?

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昨日は、日本監査役協会で開催された「監査委員会懇談会」に出席させていただきました。
この会は、委員会等設置会社に移行した20数社の監査委員会のメンバー(監査委員または監査委員会室長など)が、委員会等設置会社の法令、その他、運営上の問題点等について情報交換するという会。
委員会等設置会社に移行された会社というのは、日本の中でもかなりコーポレートガバナンスに熱心な会社さんばかりですので(参考はこちらのエントリーなど)、見識も高い方ばかりで非常に参考になりました。
個別の会社さんの情報をここで開示するのは適当でないと思いますが、一般論的で差し支えないと思われるものをいくつか。
委員会等設置会社に移行してよかったか?
監査役設置会社から委員会等設置会社に移行してよかったと思うかどうかについてですが、これは、どの会社さんも一致して「移行してよかった」というご感想。
「デメリットはない」というのもほぼ一致した意見。
アンケートだと顔が見えませんが、監査委員の方々のお顔を拝見して、本当によかったと思ってらっしゃるようだというところが実感できたところが収穫でした。
何がよかったか?−議論の活性化
日経に掲載されていたアンケート結果とほぼ同様で「経営のスピードアップ」「事業活動の透明性の向上」等があげられましたが、「取締役会の議論が活性化」を評価するご意見が多かったです。
ベンチャー企業の取締役会は経営の重要事項についてちゃんとディスカッションしている例を結構見かけますが、大企業の取締役会というのは、「シーン」としている例が多いのでしょうね。
「委員会等設置会社になると、執行役へ権限委譲して取締役会の決議事項が少なくなるので、その分、ディスカッションの時間が増やせる。」
「決定を行うのはあくまで取締役会。(商法上、会社の機関は取締役であり、一人一人の取締役は機関ではない。)だから、執行部門は個々の取締役の言うことをいちいち聞く必要はない。その分、社外取締役も思う存分好きなことをしゃべれる。」
というご意見があり、なるほどーと思いました。
監査役設置会社でも取締役個人は「機関」ではなかったので同じと言えば同じなわけですが、社外取締役が義務付けられたので社外取締役が入ってきたことが大きいということでしょう。
逆に言えば、個々の取締役がいい意見を言っても、言いっぱなしでは執行役に(理論上は)伝わらないわけですから、取締役会議事録的に書くと、
「○○取締役の『△△△△△△』という意見を取締役会として□□代表執行役に申し伝えることにつき議場に諮ったところ、出席取締役一同異議無く、これを承認可決した。」
的な形で決定しておく必要があるのかも知れません。
株主総会での質問
6月の株主総会ラッシュを終えたばかりでもあり、委員会等設置会社移行後初の定時株主総会となったため、「株主総会でどのような質問があったか?」という話題に。各社とも「質問が来るだろうと思って張り切って万全のリハーサルをしていたが、まったく質問がなく、肩透かしを食らった。」ということのようです。
「業績が悪い」とか「株価を高くしろ」というのはわかりやすいが、コーポレートガバナンスがどうかというのは、質問としては難しすぎるんではないか、というご意見が多かったです。
株主総会の運営
委員会等設置会社では、決算も利益処分も退職慰労金も、すべて取締役会等のレベルで決まってしまっているので、株主総会での決議事項は取締役の選任くらいになってしまっています。このため株主総会でやることが無くて「手持ち無沙汰感」が高まっているようで。
「質問もあまり出ないし、もうちょっと”IR”的な要素を取り入れ、会社側から積極的にアピールするような株主総会にする必要があるんじゃないか。」
というご意見が多かったです。
監査役と監査委員の違い
監査役設置会社においては、監査役は取締役会に出席しても基本的に黙って聞いているだけでしたが、委員会等設置会社においては商法特例法で監査委員会の活動等を取締役会で報告することが求められるため、取締役会のかなりの部分は監査委員会の報告で費やされることになる。ということで、「取締役に、監査って大変なんだねえ、と活動の大変さが伝わるようになった。」「監査委員になって監査役時代よりも社内でのステイタスが確実に上昇した。(笑)」といった、監査に対する取締役の注目度の改善が見られたという意見が多かったです。
常勤の監査委員について
監査役設置会社で常勤監査役が必要とされたのに対し、委員会等設置会社においては常勤の監査委員の設置は求められていませんが、どの会社でも社外取締役の監査委員から、「従事時間的に、常勤の監査委員が必要」という意見が多いようです。
ただし、アメリカのコーポレートガバナンスの識者には「常勤の監査委員?何それ?」といぶかしがられることが多いそうで。
常勤になると(給料の大半もその企業から支払われることになり)独立性が損なわれる可能性がある。時間を長くするよりも、独立性を重視することのほうが大切、という「オーバービュー的な」考え方が強いのでしょう。
私の想像ですが、もしかすると訴訟対策という観点からも、いつでも自由に社内を見て回れる常勤の人がいると、「ここまでわかっているべきだった」という責任範囲が広くなり、内部統制組織との責任分界点もあやふやになる。責任を提出された資料だけに限定する意味でも「オーバービュー型」の方を好むのかも知れません。
ではまた。

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