企業統治のボケとツッコミ

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企業統治(コーポレート・ガバナンス)の運営機構論では、執行部門とその監督部門をどう位置づけるか、ということが問われます。
ダイムラー・クライスラーの三菱自動車支援の記事では、経営者(取締役)を「監査役会」が見張るというドイツ型のガバナンス機構が紹介されていました。ドイツではこの監査役会の権限が非常に強く、監査役会のメンバーは株主総会と従業員により半数づつ選任され、取締役と監査役の兼任は認められていないようです。
日本では、ドイツ商法から輸入された「監査役」が経営者(取締役)を見張るというシステムが戦前からありましたが、戦後、取締役会が取締役を監視するというアメリカのboardシステムが取り入れられ、監査役会と共存した混合型のガバナンス・スタイルがとられていました。しかし、日本では経営者の権限が実質的に強いことが多く、商法上の思わくに反して、取締役会や監査役会は社長の監視をするどころか「部下」的な位置付けに甘んじており経営監督機能が弱いのではないか、ということが指摘されてきました。
平成14年の商法改正により、日本にもアメリカ型boardシステムを参考にした「委員会等設置会社」が取り入れられました。(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律、第1条の2�[定義]、および第21条の5以下)
これは、経営を行う「執行役」(officer)と、経営を監督する「取締役」(director)を分け、社外取締役が過半数入った3つの委員会によって監査、取締役等の報酬、人事等を決定することで経営者を強力に見張るとともに、執行部門の裁量の余地を大きくしスピーディな経営を行えるようにしたものです。
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こうした企業統治の運営機構のあり方は、お笑いにおける「ボケとツッコミ」の関係に良く似ています。つまり、経営執行=ボケ、監督機能=ツッコミ、ですが。
戦後の日本は経済全体が成長していたので、社長がボケまくっていればうまくいくことも多かったわけですが、最近の企業不祥事の多発に見られるように、日本でも(というか世界的に)ボケとツッコミとのバランスが重要な時代に入ってきたと言えます。
お笑いでも、どうしても「ボケ」の方が目立つわけですが、古い例でいくと、ツービートとか紳介竜介とか、ボケとツッコミの力量に大きく差のあるコンビは、結局、解散ということになることも多い。ツッコミは一見、「そんなわけないやろー!」と言ってればよさそうに見えて、実はタイミングとか切り返し方とか、ボケに見劣りしない実力が求められるわけです。
戦後登場して成功した企業でも、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫や、ソニーの井深大と盛田昭夫などは、(商法上の監督と執行という機構ではないにせよ)、ボケとツッコミのバランスが絶妙だったのではないでしょうか。
“兵は詭道”であって、経営は当たり前のことをやっていても勝てません。
ボケというのは常識の延長線上からはずれるがゆえに”ボケ”なので、スゴいボケほど、ツッコミがうまくフォローしないと世間に理解してもらえないわけです。
また、お笑いでは、とんねるずとかダウンタウンとか爆笑問題とか、はたまた染之助・染太郎とか、学生時代の同級生や兄弟というパターンが多いですよね。やはり、無理やり組まされた「人工的な」相方に頭をはたかれるというのは、気心が知れた相手に叩かれるのと違って腹も立つんじゃないでしょうか。
舞台以外ではそれほど仲のよくないコンビも多いようですが、ベタベタ仲がよければいいというわけでもないというところも、ガバナンスの機構論と似ています。
このボケとツッコミの微妙な距離感。これが、経営をうまくいかせるコツかと。
2000年前後のネットバブルとその崩壊を見ていても、生き残った企業は、「いいボケ」の社長とバランスの取れた社外取締役のツッコミがいたりして、この経営とガバナンスのバランスがしっかり取れていたところが多いように見受けられます。
ドイツの事情はよく存じませんが、経営者と全く兼務できない監査役会が強大な決定権を持つというのは、バランスとして「ツッコミ」が強すぎるんじゃないでしょうか。
まあ、「ありえないもの。イギリス人の名コック、アメリカ人の哲学者、ドイツ人のコメディアン」って言いますからね。
(・・・って、お笑いじゃねーよ。(_ _)☆\( ̄∀ ̄#))
(どーも失礼しましたー。   |(_ _)|   |(_ _)| )

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企業統治のボケとツッコミ” への1件のコメント

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