キャピタルゲインと匿名組合

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先日、TOBと事後設立のお話をした中で、SPC(特別目的会社)がTOBで取得した株式が「商品」なのか「固定資産」なのか、という問題提起をさせていただきましたが、その判断の一つの観点としては、投資のexit戦略による見方があると思われます。
株式を保有しているSPC(投資法人等)自体を売却することによりキャピタルゲインを得るというのであれば、SPC自体としては購入した株式を売却する意図はとりあえず存在しないということで、SPCにとっては「固定資産」的かも知れませんが、前回掲げた案のようにSPC自体が取得した株式を売却するのが目的であれば、「商品」的な資産ということになる気がします。
SPCは通常、株式会社や有限会社ですので、ここで単純にSPCで保有株式を売却してしまうと、SPCに大量の利益が発生して法人税が課せられます。が、投資組合などSPCへの出資者とSPCが「匿名組合契約」(商法535条〜)を締結しておいて、SPCで発生したキャピタルゲインは、すべて匿名組合損益として吸い上げてしまえば、SPCでは法人税が課税されません。
(ただし、匿名組合出資者の税務に注意。)
こういう税務上「透明 (fiscally transparent) 」な「器(vehicle, entity)」を、税務では「導管体(conduit)」と呼んでいます。
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先日も、会社分割をした会社の方から、「親会社のほうは赤字だが分割した子会社で利益が出てしまい、連結納税の届出をしていなかったので損益が通算できない。どうしたもんか・・・。」とご質問をいただきました。
(分割前に税務についても考えておくのが普通だとは思いますが^^;)、一つの手としてこうした匿名組合出資を組み合わせる手が美しかったかも知れません。
ちなみに、前回のロキテクノのTOBの事例で出資者となっているファンドは投資事業有限責任組合のようですが、この有限責任組合というのはもともとベンチャー投資を念頭において設立された制度で、昔は投資できるのが未公開株などに限られていて、たいそう使い勝手が悪かったのですが、プライベートエクイティ関連の識者の方々の意見なども取り入れて、現在では投資対象を大幅に広げており、匿名組合出資にも投資できることになってます。(下記条文参照)
(ではまた。)
参考URL:
中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=2&H_NAME=&H_NAME_YOMI=%82%bf&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_
FILE_NAME=H10HO090&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

第三条  中小企業等投資事業有限責任組合契約(以下「組合契約」という。)は、各当事者が出資を行い、共同で次に掲げる事業の全部又は一部を営むことを約することにより、その効力を生ずる。
(中略)
四の二  中小企業等を相手方とする匿名組合契約(商法第五百三十五条 の匿名組合契約をいう。以下同じ。)の出資の持分又は信託の受益権(中小企業等の営む事業から生ずる収益又は利益の分配を受ける権利に限る。)の取得及び保有

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http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi

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キャピタルゲインと匿名組合” への1件のコメント

  1. 磯崎様 おひさしぶりです。
    仕事上の調べごとをしていたら、磯崎さんのブログがヒットして、まあ、びっくり。
    肝心の調べ物 fiscally neutral、(これのfiscallyがひっかかったのですね)の適訳は探せなかったものの、懐かしくてコメントを描いてしまいました。
    また、そのうちに。